暴走 : 2 / 14


「やべぇよ…忘れてたよ…」

着替えを済ませて朝の食卓につくと、顔を真っ青にした嵐くんが震えていた。

「ど、どうしたの…?」

そんな姿を見せられるとさすがに焦る。
恐る恐る訊いた。

「テストだよ!体育祭という甘い罠に隠されたテストだよ!」



…そうなのです。

体育祭も終わり、6月下旬にもなると、期末テストが始まる。
体育祭で羽目を外しすぎ、そのテンションを引きずってしまうと、テストに影響が出るだろう。
しかし、うわあああ、と大袈裟に嵐くんは喚いているけど、テストまではまだ3週間もある。

…何をそんなに騒ぐのか。

すると嵐くんはガシッと俺の両肩を鷲掴みにした。

「…翔、お前、まだ3週間もあるじゃんとか思っただろ」
「…ご、ごめんなさ」

「いいか、俺はな、頭じゃなくてスイセンで、バスケで特寮に入れたんだ…つまり…分かるだろ?」

「…もしかして、嵐くんて、あんまり、勉強できな」
「ソレを言うなぁああ!!」
「ごごごめんなさいいい!」

…ひえぇぇ。
理不尽にも至近距離で叫ばれる。バスケ部長の声量はタダモノではなかった。
しかしここまで切羽詰まっているなんて、嵐くんはよほど自信がないらしい。

「…仕方ないなあ、じゃあ、勉強会でもしようか?」

そこで口を開いたのは奏斗くん。
その瞬間、嵐くんの顔色がガラリと変わった。

「ほんとか!?」
「あんまり特寮がバカだと思われても困るし」
「……光希このやろー…」

いつも言い合いになる光希くんと嵐くん。でもこの時ばかりは嵐くんも何も言えないみたいで。



bkm


/全80page

back
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -