思惑8 : 8 / 12



「毎年同じで悪いんだけど…許してね?」
「いや、十分すぎるよ。いつもありがとう、光希」
「あー、腹減ったー!早くメシ行こうぜ!」

奏斗くん、嵐くん三年生の二人は、もう慣れっこなのか、遠慮する素振りもなく靴を脱いでいた。

「やっぱりひろーいなー」
「…お邪魔します」

二年生三人も(性格の問題だろう)、サラリと入場。
神野さんに至っては、無言。あの雅紀くんでさえ、喋ったのに。

…俺、ほんと緊張。


「部屋、どーするー?でっかい和室でもいいし、それぞれ洋室でもいいし…」

いや、こんな立派なトコに独り洋室とか、心細すぎる。
ココは、みんなで和室でワイワイの方が…。

「おれは、」
「オレと翔」

そんな俺の言葉は虚しく、別の声にキッパリ遮られた。

「二人一緒で、イイよね?」

見上げた神野さんの横顔は、相変わらず怖いくらいに凛としていて。

「そう言うと思った。ハイ、これ二人部屋の鍵ね」
「ん、ありがと」

まるで周りを見ていない。

…そんな雰囲気。

俺には短く、行こ、とだけ言って、スタスタと階段を上がっていってしまった。
残されると困る、というのもあるけど、有無を言わせないようなその背中に引っ張られるように、俺も急いで着いていった。




bkm


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