思惑7 : 7 / 12



「…凄いよな、光希くん家」

すると、俺の隣を歩いていた恭祐くんが、俺の耳元でヒソヒソと囁いた。

「うん…なんか、おそれ多いね…。このじゅうたんとか」
「だよなだよな…キラキラでフカフカでモッフモフだもんな…」
「光希くん、毎年、って言ってたけど、恭祐くん、去年も来たの?」
「そうそう、去年の三年生の先輩とな。あン時も貸し切りでさ、メシやらフロやら、もう凄いのなんのって」
「うん…凄そう…」

恭祐くんと小声で話をしながら、建物の中をグルリと見回す。どこもかしこもキラキラのピカピカ。中学の修学旅行で泊まったホテルも立派だったけど、光希くん家のホテルはその数段上をいく。

…もう、こんなトコに泊まるなんて、この先ないかもしれない。

ホテルの廊下の端には、これまた立派な出入口があった。そこを出て、緩やかな坂道を下っていくと、そこにはまたひとつ、大きな建物。

「到着致しました、こちらでございます」


…別館、なんですよね、ココ。

あまりの立派さに、思わず聞き返しそうになった。
もちろん、本館ほどの大きさはないのだけれど、高校生7人が貸し切るには十分すぎる大きさ。
中に入ってみても、内装も本館に負けず劣らず、といったレベル。
有難いけれど、本当に、至れり尽くせりにも程がある。

「そろそろお夕食の用意が整いますので、お好きな時刻に、本館1階のレストランにいらして下さい」

そう言い残し、従業員さんは皆去っていった。
何だかいきなり、肩の力が抜けた気がした。




bkm


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