▼ 思惑4 : 4 / 12
恭祐くんがレシーブ、雅紀くんがトス、そして嵐くんが放ったスパイクは、ズシャア、と真っ白い砂浜にめり込んだ。
「はい、俺たちの勝ちー!」
「はいはーい、運動部二人が同じチームはズルいと思いまーす。」
「それは試合が始まる前に言うべきことだと思いまーす。よって無効になりまーす。」
「…チッ」
「舌打ちダメ。ゼッタイ。傷つくから。」
もはや見慣れてしまった嵐くんと光希くんの(一方的な)言い合い。
…何だかんだ、この二人、仲良しなんだよな。
「つーか、いい加減さあ…」
「だよね?俺たちバレーしに来たんじゃないよね?」
「そーだそーだあー」
すると。
嵐くんと光希くんが、不意に顔を見合わせてニヤニヤし始めた。なぜかそれに恭祐くんも便乗しているのが気になったけど。
…そして、彼らの視線の先。
「ね、朔哉さん?」
三人の声が見事なハーモニーを奏でた。
それに対し、当の神野さんは、苦虫を噛み潰したような。
「…いやだ」
「お前アレだ、翔に見られたくねーんだろ?」
…何を?
疑問符が浮かぶ俺を尻目に、嵐くんは一層のニヤニヤ顔で言う。
「…べつに」
「じゃあいいじゃーん。てか、朔哉は置いて行けばいいんじゃない?」
「うん、賛成賛成」
「まあ、せっかく来たんだし…朔哉には、悪いけど」
「…海」
皆が話す度に、神野さんの顔は険しくなっていく。
「よし、沖の方まで泳いでみよーぜ!」
「うきわうきわ…」
「ほら、翔も行こ!」
けれど皆、誰も彼に構うことなく、ワイワイしながら波打ち際へと走って行ってしまった。
bkm
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