▼ 思惑3 : 3 / 12
…え、えろいこと、って。
もはや心当たりしかない俺、言い合う二人の隣で、どんどん頬の温度が上がっていく。
神野さんの誕生日から、1か月弱。
…つまりは、初、えっち、から、1か月弱。
…いやいやいやいや。
そう言いますけど、当たり前ながら、最初の一発で最後まで出来るワケないんですよ。だからね?この1か月で何度も何度もね、挑戦した結果、その、最近ようやく、あの、先輩の、その、あの、アレが、その、俺、の……
「かーけーるーくーん」
「ああああわわわわわ!!」
ついこの間の夜のコトが鮮明に蘇ってきたその時、不意に現実に引き戻された。
ハルくんと彰太が、ニヤニヤ顔でこっちを見てる。
「うわ、翔の顔、真っ赤」
「ついに?ついに?」
「…っ、もう、何も、言わないで…」
…ほんと、もう、やだ。
二人から俺の顔を隠すように両手で覆ってやった。
てか、俺、ハルくんには何も言ってないのに。いつの間にバレたんだ。…くそ、彰太め。もう現代文教えてやんないからな。
「からの、旅行だもんな」
「やらしいな」
「や、やらしくないっ!!」
俺の抵抗も虚しく、二人はニヤニヤしながら、俯く俺の顔を覗き込んでくる。
そんな二人を恨めしく思いながら、俺は火照る顔を鎮めることに集中した。
ジリジリと照る日差しの下。
─…夏が、始まる。
......
青い空、輝く海、白い砂浜を背景に、夏の思い出を作るなんて、ベタではあるけど、なかなかに贅沢ではないかと、思う。
「れしーぶ!」
「…トス」
「アタァアアアアック!!」
そう、俺たち特寮組は、夏休みを利用して、海の見えるホテルへプチ旅行に来ています。
朝早くに寮を出た為にお昼前には到着、早速目に入った海で、高校生男子7人は大ハシャギでビーチバレーに熱中しております。
bkm
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