思惑2 : 2 / 12



「そういえばさ、翔」
「うん?」

「雅紀さん、夏休みの2週目くらいから、少し休む、って言ってたんだけど。なんでか知らない?」

「ああー…」



…そう。
そうなのです。
夏休み1週目は、奏斗くん、嵐くん、三年生の最後の大会がある。
それが終わった夏休み2週目に、三年生お疲れ様、の意味も込めて、特寮組で小旅行に行くことになっていた。
その為に、二年生でまだ部活のある雅紀くんは、休みを貰ったんだろう。

「特寮組でさ、泊まりでちょっと出掛けるんだ」
「あ、そーなんだ?」
「いいねー君たちは。実に楽しそうだ。」

するとハルくんは、拗ねたようにフーンッと鼻を鳴らして言った。

「…ギターいじるか歌うかしかすることないし」
「いや、おれだって、ちょっと出掛けるだけで後は何も…」
「いいじゃん、夏休みに遠出ってだけでさ。」
「家には?帰らないの?」
「んーや、別に。帰ったって状況変わんないし?」

どーするかねー、なんてヘラヘラと、彼は笑う。
なかなか不思議な話で、クラスの他の奴とも話したけど、どうやら休みに実家に帰る生徒というのは、そんなに多いものではないらしい。
ハルくんもその内の一人のようだ。

「…お前らみたいに、お相手でも居れば、いーんだけど、ねえ?」

そうやって考えているうちにハルくんがこちらに向けていた笑顔は、いつの間にかニヤリ顔に変わっていた。

「え、ちょ、ハル…!」
「あーしかもアレだなー同棲してるも同然だもんなー羨ましいなーいいなー遠慮なくえろいことできるもんなー」
「うるせーな!えろいことして何が悪いんだよ!!」
「ソコは恥じらうトコだろ普通」




bkm


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