覚悟 : 12 / 12


「…そんな風に、翔に頼まれなくたって、」

言うと彼は、彼の身体に引っ付く俺の身体を、静かに引き離した。



「ずっと、翔とセックスしたいと、思ってたよ」



聞き返すよりも速く、彼のキスが降ってくる。
すぐに彼の舌が俺の唇を割って、舐め回すかのように俺の口の中を巡っていく。
そのうち俺は彼に後ろから頭を押さえつけられて、もう逃げられなくなって。

ベッド、と促されて、柔らかな布団に背中を預けた。
覆い被さる彼の、真剣そのものの表情から、目が離せない。

「…出来るだけ優しくする」
「……うん」
「…痛かったら、言って」
「…うん」
「それから…」

「もう、いいよ」

柄にもなく歯切れの悪い彼の言葉を遮って、俺は彼の首に腕を回し、頬を寄せた。

…そして、囁く。


「…もう…我慢、しないでいいよ…」


彼は優しく俺の手をほどいてベッドに俺を倒した。
そのまま首筋に彼の頭が降りてくる。

「……好き」

その声に、ゾクゾクと全身が震えた。そのまま鎖骨のあたりを啄みながら、俺のTシャツを捲り上げていく。
俺の身体を撫で回す彼の手は冷たい。

「…翔………好き…」

また、うわ言のように呟く彼。
そして、合わされる唇。その肩に、もう一度腕を回して応えた。



「…大、すき…」


息継ぎの合間の告白。

彼の唇に、手つきに、その肌に意識がとけていくのを感じながら、夜は更けていった。











08...藤咲くんの覚悟。




bkm


/全80page

back
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -