▼ 覚悟 : 12 / 12
「…そんな風に、翔に頼まれなくたって、」
言うと彼は、彼の身体に引っ付く俺の身体を、静かに引き離した。
「ずっと、翔とセックスしたいと、思ってたよ」
聞き返すよりも速く、彼のキスが降ってくる。
すぐに彼の舌が俺の唇を割って、舐め回すかのように俺の口の中を巡っていく。
そのうち俺は彼に後ろから頭を押さえつけられて、もう逃げられなくなって。
ベッド、と促されて、柔らかな布団に背中を預けた。
覆い被さる彼の、真剣そのものの表情から、目が離せない。
「…出来るだけ優しくする」
「……うん」
「…痛かったら、言って」
「…うん」
「それから…」
「もう、いいよ」
柄にもなく歯切れの悪い彼の言葉を遮って、俺は彼の首に腕を回し、頬を寄せた。
…そして、囁く。
「…もう…我慢、しないでいいよ…」
彼は優しく俺の手をほどいてベッドに俺を倒した。
そのまま首筋に彼の頭が降りてくる。
「……好き」
その声に、ゾクゾクと全身が震えた。そのまま鎖骨のあたりを啄みながら、俺のTシャツを捲り上げていく。
俺の身体を撫で回す彼の手は冷たい。
「…翔………好き…」
また、うわ言のように呟く彼。
そして、合わされる唇。その肩に、もう一度腕を回して応えた。
「…大、すき…」
息継ぎの合間の告白。
彼の唇に、手つきに、その肌に意識がとけていくのを感じながら、夜は更けていった。
08...藤咲くんの覚悟。
bkm
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