▼ 覚悟 : 10 / 12
あああ、なに、俺のカクゴどうしてくれるんだ。恭祐くんには悪いけど、最高にタイミング悪かったよ、うん。も、もうちょっと遅かったら、もっと気まずかっただろうから、ど…どうせなら、もうちょっと早く帰ってくればよかったのに!うん!
悶々としながら、チラリと神野さんを盗み見た。
俯いてケータイを眺める、伏せられた睫毛は女の子顔負けの長さで、何だかとても綺麗。
「…どした?」
そうやって眺めていたら、彼は不意に顔を上げた。
「あ、いや、なにも…」
「そ?」
そして彼はケータイをパタンと閉じて、枕元に放り投げる。
「…もう寝る?」
すると彼は少し首を傾げて、言った。
「………あ、うん…」
思わず俺が頷くと、彼はすっと立ち上がって部屋の電気を消す。
そして、ふわあ、とあくびをひとつ。
モソモソと、ベッドを直し始めた。
…このまま。
いつも通りの別々のベッド。
布団の中で、独り丸くなって。
気付いたら、朝がきて。
…ちがう。
そうじゃないんだ。
どうして、こんなに近くにいるのに、独りじゃなきゃいけない?
bkm
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