覚悟 : 10 / 12


あああ、なに、俺のカクゴどうしてくれるんだ。恭祐くんには悪いけど、最高にタイミング悪かったよ、うん。も、もうちょっと遅かったら、もっと気まずかっただろうから、ど…どうせなら、もうちょっと早く帰ってくればよかったのに!うん!


悶々としながら、チラリと神野さんを盗み見た。
俯いてケータイを眺める、伏せられた睫毛は女の子顔負けの長さで、何だかとても綺麗。

「…どした?」

そうやって眺めていたら、彼は不意に顔を上げた。

「あ、いや、なにも…」
「そ?」

そして彼はケータイをパタンと閉じて、枕元に放り投げる。

「…もう寝る?」

すると彼は少し首を傾げて、言った。

「………あ、うん…」

思わず俺が頷くと、彼はすっと立ち上がって部屋の電気を消す。
そして、ふわあ、とあくびをひとつ。
モソモソと、ベッドを直し始めた。



…このまま。


いつも通りの別々のベッド。

布団の中で、独り丸くなって。

気付いたら、朝がきて。



…ちがう。

そうじゃないんだ。



どうして、こんなに近くにいるのに、独りじゃなきゃいけない?



bkm


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