覚悟 : 2 / 12


「また頑張ってね、慶護」
「ありがとう、奏斗くん。それに、朔哉も」
「おー」

俺とは違い、オトナに慶護さんを見送る奏斗くん。
それじゃ、と、俺を散々振り回した、まるで台風のような彼、慶護さんは去っていった。

…最後に、輝くウインクを残して。




「…あっ」


『もうすぐ、誕生日だね』


…そのウインクで、思い出した。

そういえばあの時、確かに彼はそう言った。

…神野さんの誕生日が、すぐそこに迫っている、らしい。


「どした、翔」
「…誕生日、って、いつ?」


「…あー、そういえば」

思い切って訊いてみた。
彼は、たった今気付いた、みたいな顔で天井を仰ぐ。



「…明日だ」

「え、明日なの!?」
「うん」
「そういえば去年、朔哉のだけ祝ってないね」
「そりゃ、毎日、門限ギリギリまで外に出てりゃそうなるわな」


…明日?

俺だって心底驚いたけど、どうやらそれは俺だけではないらしかった。

「けど俺、明日から部活終わるの、もっと遅くなるんだよなあ」

俺は嬉しいけど、と嵐くん。
その隣では雅紀くんも、コクコクと頷いていた。

「俺も、弓道の最後の大会あるから、明日から遅くなるな…」
「料理部も明日は活動あるんだ。夕飯のメニュー作るから、俺はゴハンいらないよ」
「あ、俺も明日から、正式に軽音部にお邪魔しそうな空気です」

バスケ部二人に続き、皆が口々に言う。
テストが終わり、どこの部でも、部活動が再開されるのだ。
弓道部長の奏斗くん、料理部の光希くんは勿論、たまに軽音部に顔を出していたらしい無所属だった恭祐くんも、ついに籍を置くことに決めたらしい。



…あれ、

…と、いうことは。




bkm


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