▼ 覚悟 : 2 / 12
「また頑張ってね、慶護」
「ありがとう、奏斗くん。それに、朔哉も」
「おー」
俺とは違い、オトナに慶護さんを見送る奏斗くん。
それじゃ、と、俺を散々振り回した、まるで台風のような彼、慶護さんは去っていった。
…最後に、輝くウインクを残して。
「…あっ」
『もうすぐ、誕生日だね』
…そのウインクで、思い出した。
そういえばあの時、確かに彼はそう言った。
…神野さんの誕生日が、すぐそこに迫っている、らしい。
「どした、翔」
「…誕生日、って、いつ?」
「…あー、そういえば」
思い切って訊いてみた。
彼は、たった今気付いた、みたいな顔で天井を仰ぐ。
「…明日だ」
「え、明日なの!?」
「うん」
「そういえば去年、朔哉のだけ祝ってないね」
「そりゃ、毎日、門限ギリギリまで外に出てりゃそうなるわな」
…明日?
俺だって心底驚いたけど、どうやらそれは俺だけではないらしかった。
「けど俺、明日から部活終わるの、もっと遅くなるんだよなあ」
俺は嬉しいけど、と嵐くん。
その隣では雅紀くんも、コクコクと頷いていた。
「俺も、弓道の最後の大会あるから、明日から遅くなるな…」
「料理部も明日は活動あるんだ。夕飯のメニュー作るから、俺はゴハンいらないよ」
「あ、俺も明日から、正式に軽音部にお邪魔しそうな空気です」
バスケ部二人に続き、皆が口々に言う。
テストが終わり、どこの部でも、部活動が再開されるのだ。
弓道部長の奏斗くん、料理部の光希くんは勿論、たまに軽音部に顔を出していたらしい無所属だった恭祐くんも、ついに籍を置くことに決めたらしい。
…あれ、
…と、いうことは。
bkm
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