暴走 : 10 / 14


先生方が用意してくれた、貴重なテスト勉強の時間を無駄にしているということも忘れて、俺たち二人は話に没頭した。

殆んどのクラスの奴らが、図書室や自室で勉強しているんだろう。教室には俺たち二人を含めた僅かな生徒しかいない。

「次期社長だか何だか知らないけどさ!人のこと不愉快にさせてるようじゃダメだよな!」



「それはそれは、申し訳ないことをしたね」


彰太が言ったその時。
今一番聞こえてきてはならない声が、耳へスルリと流れ込んできた。

廊下に面した教室の壁の窓から顔を出したのは、噂の張本人。

「そうか、君たちは仲良しだったんだね?翔くんと、彰太くん」

ニコリ、とわざとらしく慶護さんは笑う。それに加え、初めて名前を呼ばれて、かなり動揺した。
彼は、なるほどねぇ、と独りでフンフン頷いている。

「…今日も勉強会するんスか?」

すると彰太が、いつもの人懐っこい笑顔を完全に消して、慶護さんに訊いた。

…こんなにも敵意剥き出しな彰太は初めて見た。

「もちろん。」
「…どうして神野さんなんスか?他にも友達、いますよね?」

彰太はそのままの姿勢を崩さずに言う。

「まあ、朔哉は小さい頃からの友人だから、ね」

すると、彰太に向き合って話していた慶護さんが、チラリ、俺に目配せした。



bkm


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