▼ 暴走 : 8 / 14
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基本的には、嵐くんと慶護さんにお勉強を教える会、なので、先輩にお勉強を教えることなどできない俺に参加義務はないのだけれど、一つ屋根の下で先輩が頑張っているともなれば、参加しないワケにもいかない。
特に用事もないので、テストの為に、俺は俺で勉強していたのだった。
…けれど。
「朔哉、ココは?」
「ん、コレは、この解がソレだから…」
二人は俺の向かいに座ってノートを開いている。お互いがお互いの手元を覗き込んだり込まれたり。
それは、教えあっているんだから当たり前のことではあるのだけれど。
…なんか、気に食わない。
「簡単だろ?」
「ああ、なるほど…」
何だか二人の会話が気になって、声がする度に、ついチラリと目線を向けてしまっている自分に気付いた。
やがてそんなことを繰り返しているうちに、
「!」
とうとう目が合った。
俺は金縛りにでもあったみたいにギクリとして動けなくなる。
神野さんとはまた違う、眼力。
「…どうした?慶護」
「……うん、」
それに気付いて神野さんが声をかける。
慶護さんはそれには目もくれず、俺を真っ直ぐに見て、笑った。
「何でもないよ」
…まるで、俺に向けて言われているみたいだった。
bkm
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