「おっ、名字も花火大会行くのかー?」

「はい!。犬飼先輩も行くんですか?」

「おーよ」

「犬飼先輩!もし会ったら何かおごってください」

「おー、会ったらな〜」


“会ったらおごってやるよ”
なんてただの口実。
名字を見つけて自然に会えるようにだ。
名字はやっぱり浴衣着てくんのかなー
名字の浴衣姿すっげー見たい。
俺、犬飼隆文は後輩の名字名前に片想い中だ。
名字とは学科も部活も違う。あったのはそう、偶然なんだ。




「おい、犬飼。聞いているのか!」

「うわっ!!み、宮地!?」

「なに感慨に浸っているんだ。それよりほら、待たせて悪かった」

俺の分も買ってくれたのか、わたあめをくれる。
いや、いらねーよ。
つか、何を好んで男と見なきゃいけねーんだよ。
名字を見たくて三日前の記憶がよみがえる。

「俺、食わねーから宮地にやるよ」

そう言って宮地に返すとまんざらでも無さそうな顔をしていた。

はぁ、名字に会えねーかな。
偶然の神様は俺の味方だろ?
もう、別の奴のところにいっちまったのかよ。
なんて、神頼みなんてガラじゃねーよな。



「む……あれは名字か?一人で何をしている」

「えっ?」

宮地の視線の先を見ると、屋台のある一本道から少し外れたところに名字が屈んでいた。

前言撤回。
偶然の神様は俺の味方だ。

「悪い!俺、ちょっといってくるわ!!」

「おっおい!」

宮地の制止も聞かずに俺は走り出した。













「……会いたいな」

一緒に来ていた友達は元々彼氏持ちで彼氏が一緒にこれないから私と来たのに、彼氏の予定が変わったとか何とかで今さっき連絡が入って、私は笑顔で送り出した。
一人で見る気にもなれず、人混みですぐ帰れそうにも無いから人混み外れたところで座っていた。
周りを見れば、カップルばっかり。
犬飼先輩に会いたいな。
せっかく浴衣着て髪の毛も必死にあげたのにな、
なんて考えてると
「名字っ!何してるんだ?」
なんて聞こえたから幻聴か、と思った。

だけど、幻聴じゃなくて犬飼先輩がいた。


「いいい犬飼先輩!?」

何で犬飼先輩がいるんだろう、信じられない。
私は立ち上がった。

「お前こそ何してんだ?」

「えっと……友達に用事が出来ちゃって。帰ろうか迷ってたんです」

なんとなく、本当の理由は言いにくかった。

「……そっか、なら俺と見ないか?……その、おごる約束もしていたからな!」


犬飼先輩にしては歯切れが悪い。
ねぇ、犬飼先輩?期待してもいいんですか?


「ぜひ!よろしくお願いします!!!」



歩き出した犬飼先輩の手をギュッと握ると一瞬びっくりした表情になりながらも握り返してくれた。









浴衣ともくろみ


(先輩!!浴衣…どうですか?)
(と、ととても…似合ってるぞ!)
(名前で呼んでもいいですか?……隆文先輩)
(……!っ……名前!)




■あとがき
何かね、リア充ですよね←
犬飼はへたる位がいいと思います((((
もちろんかっこいいのも良いけどね!
テーマは夏!
二回目のお題でした。

捕捉すると、二人は両想いだけどわかっていない的な感じです←
ヒロインの後半の積極的さに脱帽(笑)

読んでくださった皆様!!
ありがとうございました。


戻る

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -