付き合いはじめて俺はなんかよくわからなくなった。あいつが俺を選んだことがよくわからなくなった。手をつなぐのもキスするのも、怖くなった。

俺のどこが…不安がおおった。


「犬飼ー!」

白鳥がにやにやしながら半泣きで現れた。

「お前いつの間に付き合ってんだよー!俺だって好きなのにー」

俺の肩を力いっぱいつかみ揺さぶりをかけてくる。ほんとにこいつは素直というかなんというか…俺が苦笑していると、白鳥が真剣な顔で俺をみてきた。


「それにしては…。いやいやごほんごほん…」

目をそらす白鳥。わざとらしすぎだろ。


「まぁ。悔しいけどもお祝いしてやるよ」

「まぁ。ありがとな」

「なんだそのすかしたタイドは〜」

またも揺さぶり。さっきよりも力が込められる。


「いてぇよっ」

白鳥め と思いながらアッパーをくらわす。

「いてててててっ」

白鳥がまた半泣きになりはじめる。

「お前が先にやったんだろっ」

俺は自分でもわかるくらいにやにやしている。


「まっ参りました。」

がくんとうつむく白鳥を横目で見ながらガッツポーズをとった。


「お前やっと笑ったなぁ」
白鳥がぼそっと呟いた。


「なんだよ」

ちょっとむっとして聞き返す。


「最近のお前はさ。いつも眉間にしわよせててさ。笑ってないんだよ」

少し間をあけた後にいった。
「あいつと一緒の時も。」

「そんなことねぇよ。笑ってるわっ」

ちゃかしぎみで言い返した。

「お前が思ってるより笑えてない。無理して笑ってる感じだな。」

冷静にいいはなった

「そんなことっ…」

言い返そうと白鳥をみると、泣きそうになりながら笑っていた。

「そうなのか」
「そうなんだよっ」

白鳥は遠くをみるように視線をずらした。


「今、あいつを一番幸せにできるのはお前なんだよ…。俺じゃなくてなっ」


白鳥はもう泣いていた。

「なんで、泣いてんだよ…。俺に喝をいれにきたんじゃ」

「わーん」


わーんて…どんな泣き方だよ俺じゃなきゃだめだってことをいいたいんだよな…

「白鳥ー泣いてるとこ悪いんだが、俺行くわ。」

白鳥がぱっと顔をあげた。そして俺の腹を軽くどつくいた


「お前はお前なんだよ」と言った。
ありがとう 俺は呟くと走った。さっき降ったが葉を照らしきらきらと輝いている。言おう。伝えたい。俺の気持ちは…。




空を見上げると虹がかかっていた。そういえば、ういえば、こういう話を聞いたことがある。空にかかる七色の橋の先には宝物がある。


「あ…」

目の前にはあいつがいた。

「犬飼くん…」


俺はまっすぐにあいつをみた。
あいつも俺のことをみた。


「知ってた?虹の根本には宝物があるんだよ。根本をみようとしたら犬飼くんに会っちゃった。」


照れた顔をして視線をいろんな方向に泳がせながら言った。


あぁ俺は…。やっぱり…。

「俺、お前が好きだ。」

目をみてはっきり言った後顔を背けた。

「犬飼くん…」
あいつは静かに言った。
「大好き。」
小さく声を震わせながら言った。


俺はあいつを抱きしめた。

いつの間にか自分の事だけを考えていた。俺はあいつと恋をしていたいのに。

俺は目頭が熱くなったのも内緒にしながら、ずっと七色の虹をみた。








■あとがき
犬飼くんメインのはずが白鳥くんがでしゃばってます(笑)
友情バンザイですw
犬飼くんも不安になったりするのではと思い書きました!


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