「あーもう分かんない」



私、#name1##name2#、絶賛補習のプリントの解答欄を埋めています。
ことの始まりは5時間目。
お昼を食べて良い感じに休憩してはい授業。お腹も満たされて、太陽に当たってたら眠くなってお昼寝タイム!ということで寝てたわけです。
そしたら水嶋先生にバレて、放課後補習ね、と嫌な笑顔で言われて今に至る。
おかしいな。バレないように教科書立ててたのに。

私の目の前に立ち塞がるプリントの内容は、今日の授業でやった所だった。
やりぃ!これなら出来るぜ!とかはしゃいだ自分が馬鹿だった。
最初の方は基礎の問題で、文章の穴埋めをすればよかった。だけど終わりに近付くに連れて、寝てて聞いてなかった所が出た。

…ふ、ふふ。教科書読めば何とかやると思ったけど、それは無意味に終わった。
マズい、どうしよう。教室には誰もいないし、水嶋先生は教えてくれないし、全部埋めて合ってないと帰らせてくれないし。



「ああー、ちくしょおぉ!」



こうなったら、先生に土下座して謝って許してもらうしか……。いや、水嶋先生鬼畜だから許してもらえないわ。
何かないかと他の策を考えていたら、教室のドアが開いて人影が見えた。
きゅ、救世主だ!と思ったら



「よぉ」



犬飼だった。



「うわっ、使えな」

「ひでえなお前!どうせ終わってねえだろと思って部活帰りに来てやったのによ」

「え、マジ?ありがとー!」



そう、こいつは優しい。
いつも部活が終わって疲れてるのに来て、自業自得な自分に教えてくれる。
別に来なくたって、とりあえず土下座すれば何とかなるのに。
まぁ、そういう所に惹かれたんですよ。



「で、どこが分かんねえんだ?」

「えっと、この最後の3問」

「あー…、悪い。俺も分かんねえわ」

「はあ!?やっぱり使えないな!」

「嘘だ嘘!ちゃんと聞いてたから分かるっつーの」

「じゃあ早く教えてよ!イ○ズ○イ○○ン始まる!」

「観てんのかよ!つか教えるから背中叩くな!」





そうして3問を教えてもらって、鬼畜水嶋先生に提出してOKをもらった。
やっとこれで帰れる!そして間に合った!



「終わったー!疲れたー!」

「誰のおかげだと思ってんだ」

「もちろん犬飼のおかげですよ」

「まあな!でもあそこまでよくやったな。いつもはもっと出来てないのに」



そう言って、ははっと笑いながら頭をバシバシと叩かれる。



ああもう、

その笑顔は反則だから




■あとがき(あればどうぞ)

第2回に続き、また参加させて戴きました。
1ヶ月ネタを見つけられず、書いたのが締め切りの前日だなんて言えない…。
そんなこんなで、第2回と同じように『笑顔』がテーマ(?)になりました。私、笑顔が可愛い人好きなので話にも影響されてますねこれ。
最初に考えていた話と変わり、2〜3話ほどボツにしてこうなりました。
自分でもあまり納得がいくものではないんですが(笑)、今はこれが精一杯のようです。
あと、名前変換が1回しかなくてすみません。勘弁して下さい。
主催者の梨乃様、そして読んで下さった方々、ありがとうございました。
またご縁があれば、宜しくお願いします。


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