秋の寒空の下、欠伸をしながら箒を掃いていた。
明日から学園祭。私たちの所はコスプレ喫茶をすることになった。その事を犬飼君に話したら、笑われてしまった。私としては楽しそうだと思うのだけれど…。

『くしゅっ…』

秋なのに冷たい風が横切って行く。このままじゃ風邪を引いてしまうと思って教室に戻ろうとした瞬間、ぴたりと頬に熱い何かが触れた。

『!!!』

驚きのあまり声が出なかった。硬直していると背後で聞き覚えのある笑い声がした。

「はははっ、間抜けな顔だな。」

案の定声の主は犬飼君であって私は恥ずかしくって『犬飼君のバカ!』と言い放つと犬飼君は「悪かったって、んな怒んなよ〜…くくっ。」と笑いを堪えていた。
私は逃げるように箒を戻しに用具入れに行こうとして歩きだした瞬間、ぐいっと腕を引っ張られ犬飼君の胸の中にすっぽりと収まる。え、え…??な、何がおこってるの?!
ふと犬飼君を見るとはぁとため息をつかれた。

「…危ねぇ…ったく、ちゃんと前見ろ。」

犬飼君の視線を辿るとそこには赤のペンキが入った缶がおいてあった。私の足元にはギリギリぶつかりそうな所にある…危なかった…。

『…ごめんなさい』

「んな謝んなって、そこは素直にありがとうって言っとけ。」

ぽんと頭に手が置かれて少しだけ鼓動が高鳴る。
あれ…?胸の奥が痛い。

『…じゃ、じゃあ…私箒を戻しに行かなきゃだから!』

今度こそ用具入れに行こうとするとまた手を捕まれた。 な、何!?今度は何なの!?
犬飼君がまともに見れなくて思わず下を向いてしまう。どうしたんだろう…胸がドキドキしてる。

「名字、これやるよ。」

そう言われて犬飼君が渡したのは飲みかけの温かい缶コーヒーだった。

『…ありがとう…ってこれ…さっきの奴じゃない!!』

「あちゃー、バレちまったか。」

『犬飼君のバカ!もう知らない!』

用具入れに箒をしまって犬飼君からもらった缶コーヒーを飲みほす。
すると、目の前に水嶋先生が通りかかった。

「名前ちゃん、さっき野郎から飲みかけの缶コーヒーを貰ったでしょ?」

疑問に思いつつも肯定すると、水嶋先生はやれやれと首を振って何故か本日二度目のため息をつかれた。

「それ…完璧間接キスだよねぇ?あまり女子高生がするものじゃないよ?するならちゃんと好きな人としなね。」

ニッコリ微笑んで水嶋先生は去っていった。
間接…キ、ス…………。

その時この気持ちの答えを知ってしまったような気がした。

































どうしよう好きみたいだ



気づいてからはもう遅く、ドキドキと鼓動が速くなった。


(っはぁ、はぁ…犬飼君!!!)
(どうしたー?んな慌てて)
(責任取って!)

恋が始まると夢中になってしまうのです。

■あとがき(あればどうぞ)


お題にあってますでしょうか…?(゚д゚ ;)
何だか犬飼君と水嶋先生別人になってますね。すみません…。
今回の話は私が受けてきた恋愛話を入れました。
はい、自分大好きですね、すみません…
初恋を書くには自分が受けてきた恋、親近感湧くような恋愛に書いたつもりです。
あ、実際こんなに夢主ちゃんみたいに積極的ではなかったんですよ?!ただ、間接キスは正直照れました。すみません…のろけでしたね…orz

少しでもこの話を読んで萌えたと言ってくれるなら私はそれだけで十分です。はい。
今回もまた意味不文章ですみません。
次回もまた参加させていただきますので、末永くお付き合いをお願いしますm(_ _;)m
ありがとうございました。



2012.10.01


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