(ひかけんです)
(公園デート)



「あかん寒い」
「俺もっすわ」
「じゃあスタバ行かへん?」
「えー、いやや」
「なんで!こんだけ寒いんに風邪ひくわ!」
「でももうちょっと、こうしてたいです」
「…マ、マフラー持ってきたらよかったな」
「あ、俺手袋もってますよ」
「まじで?」
「うん、はい」
「えっ」
「え?」
「や、なんでもない!」
「ふーん」
「………」


片手だけ渡された手袋を見つめる。こういうことを普通にやる財前はやっぱりかっこよくて、どきどきする。思わず慌ててしまった自分が恥ずかしい。顔赤くなってへんかな、なんて密かに気にしたり。それでもやっぱり女慣れしてんのかなあ、なんて心の隅で嫉妬したりする俺は相当ひねくれてると思う。素直に喜べたらいいねんけど。なんて思いながらうつむくとどうしたんですと財前が聞いてきたからなんでもないと笑う。今日は久しぶりに部活が休みで、本当に久しぶりにデートをすることになった。どこ行きたい?って財前に聞いたら公園デートしたい、って即答されて今にいたる。公園デートなんてロマンチックで案外嫌いじゃない。でもやっぱり若いことをしてると思う。青春やな、これが。しゃべってたりなんかしてたらいつの間にか2時間もたっていて、さすがに体が冷えてきた。このままここにいたら風邪をひきそうだ。先ほど財前に渡された片方だけの手袋を右手にはめてみた。すると自然と財前の右手が俺の左手に重なって、ほら、こうゆうことを普通にするとことか、すごくどきどきする。それにしても昼間の公園のベンチで男二人が手を繋いでるなんて、なかなか異様な光景だ。


「…人が少なくてよかったな」
「いつもやったら絶対こんなことできませんしね」
「まあ、ちょっと恥ずかしいけど」
「俺は好きやけど。こういうの」
「知ってる」


そう言ったらあははと笑った財前。その笑顔を見てまたどきどきした。そしてふいに思う。俺たちが付き合ってからもう2度目の冬が来ている。来年も、再来年も、こんなふうに手を繋ぎながら話すことができるんかな。恥ずかしがることができるんかな。そう考えたら心臓が痛くなって、ぎゅっ、と財前に抱きつく。財前はびっくりしたようにしたけど、すぐに照れたようにどうしたんですかと笑ったから、なんでもない、とつぶやいた。






神様どうか
(この関係がいつまでも続きますように)
(なんて、柄やないけど)





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