「きゃああああー!」
「ラビどうしたのそんなに大声出して」
「リナリーちょっと聞いて!」
「なによ」
「ユ、ユウが…!」
「神田が?」
「AB型だったさ…!」
「そうなの神田?」
「ああ」
「…まあ、神田ならAB型のような気もするわ」
「なにそれ!?」
「じゃあラビはどうしてそんなにショックを受けてるの?」
「え、だって…俺O型だし」
「…へえ」
「えっ反応薄っ」
「薄くもなるわよ」
「なんで!」
「神田がAB型でラビがO型なら何がおかしいっていうの」
「え?だって、AB型とO型は血液型の相性最悪だし…」
「あらそうなの?」
「そうさ」
「ラビ、良いこと教えてあげる」
「え、なに」
「恋愛に血液型は関係ないのよ」


ぴしり、ラビの体が固まった。それと同時に隣でラビと私の会話を聞いていた神田の体も固まった。私は余程意地悪な笑顔を浮かべていたらしい。二人共すごい顔。きっとラビと神田の間に出来ている関係が私にバレたと思ったのね、ラビが「あー…」と何かを誤魔化すように口を開き目を泳がす。そしてもう一度目を合わせてこう言うの。「それって、どういう意味?」
「私が神田を狙っても大丈夫っていう意味よ」
「…へ?」


二人共面を食らったようだわ。間抜けな顔ね。そして彼は自分達の関係がバレてないと安心したのか、「ああなるほど、そういう意味ね」といつもの明るいい笑顔を浮かべる。でもね、いつものラビならきっとさっきの私の返事に対して「えっ!それこそどういう意味!?」と慌てるはずなのに。そして私はO型ではなくB型なのだから、私の血液型を知っているはずのラビはそこにも疑問を抱くはず。二人の関係に確信を抱きつつまた意地悪に笑ってこう言うの。


「二人共慌てちゃって、どうしたの?」
「えっいや、なんでもねえさ」
「あらそうかしら?ねえ神田」
「俺は別に慌ててねえ」


本当かしら。神田は相変わらず意地っ張りね。昼食を食べ終えたので食器を返そうと席を立つ。その際にラビにも声をかけ立つように言う。言う通りに立った彼の耳に口を近づけゆっくりと、こう言うの。「恋愛に血液型は関係ないわ、大切なのは心よ」とこっそり耳打ちをする。次の瞬間には私から勢いよく離れて驚いている彼にまた意地悪な笑みで返す。複雑な表情をして隣にいる神田をチラリと見てまた私に視線を戻すラビににっこりと笑いかけて「また後でね」と深い意味をたっぷり含んだ言葉を投げかけた。「まじかよ…」と笑顔を引きつらせながら小さな声でつぶやいた声が聞こえた。


「なあ、さっきの、本当にどういう意味?」
「あら、なんのこと?」
「…もしかしてリナリー、俺とユウのこと知ってる?」
「あらあれで隠してたつもり?」
「…まじで?」
「大丈夫、口外はしないわ」
「…それって他に知ってる奴いんの?」
「どうかしら」
「えーまじかよお…」
「ふふふ」
「もうダメだ俺ユウに殺される」
「頑張ってね、神田は手強いわよ」
「…ねえ」
「なに?」
「もしかしてさ、リナリーもユウのこと好きだったりすんの?」
「……さあ、どうかしら」


不適に笑った私にあなたは嫉妬して、今夜はきっと激しくあの人を抱くでしょう。愛しい人を私に渡すものかと何度も何度も愛を確かめあって、お互い疲れきったところで終了。嫉妬深いラビのことですもの、その悔しそうな目を見ればすぐにわかるわ。









アンダンテ恋愛
(ずっとずっと私が女であることを憎めばいい)




「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -