「や、ちょ、財前…!」
「大丈夫です、痛いのは最初だけですから」


ここは部室。さっきから隣で財前と謙也がしとる会話を聞いてて、これ声だけやったらえろいように聞こえる人もいるんちゃうかな、なんて思った。えろいのは俺か。


「ま、まじでやめてや…」
「謙也くんビビりっすね。ピアスぐらいで」
「俺べつにあけたないもん!」
「うるさいっすわ」


財前はなんでそんなに謙也にピアスの穴をあけたいんやろうか、俺にはわからへん。こないにいやがってるんやからやめたったらええのに。まあ俺がくちだしすることでもないし止めはせえへんけど。ちらりと謙也を見たらばちりと目があった。あーあ、謙也涙目やん。そんなにこわいんかピアス。財前は謙也がこんなんになってんのにまだやめたらへんあたり、どうしようもないサドやな。まあ確かに謙也はM寄りやから意地悪したくなる気持ちもわからんこともないけど。とか謙也と目を合わせながら思ってたら助けて白石!と目で訴えられた。わざとらしくえ?って顔したったら今度は口パクで助けてって言われた。どんだけいややねん、顔が必死やん。しゃーないなあ、今回はたこ焼きで許したる。


「ちょお財前、謙也は人一倍こわがりで痛がりやからそこらへんで勘弁したり」
「白石…!」
「………」


見てみい、この神様を見るような目を。俺むしろお前のことけなしてんのに、どんだけ単純やねん。財前は邪魔されてめっちゃ睨んできよるし。まあ謙也が俺にこんな笑顔向けとるっていうのもあるんやろうけど。どうせ部長命令やしやめへんわけにはいかんから、財前はあっさりと謙也の耳たぶから手を離した。あれか、財前は好きな子をいじめてしまうちっさい男の子か。そこらへん大人っぽく振る舞ってても中2やな。うーん、そうやなあ。先輩の俺から助言すると、もうちょっと大人になることをオススメするわ。謙也には、特にな。








思春期ひとつ
(俺みたいになれるんはまだまだ先やな)




(0819)






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