見てしまった。いや別に俺は悪くないねんけど、でも。


(あの二人、付きおうとったんか)
(あんなとこでキスとか、誰かに見られて当たり前やん)
(アホちゃうか…っ、)



「何してるんですか」
「!」
「そんな急いで」
「あ…財前、おはよう」
「おはようございます」
「…、」
「謙也くん何か急いでたんちゃうの?」
「え?」
「早歩きやったから」
「いや、なんも。とくに」
「ふうん」
「…」


まさか財前が見ていたなんて思いもしんかった。こいつは勘が鋭いから何かと危ない。もしかしたら、あれも見られてたんかもしれない。それはなんか色々と、恥ずかしいから避けたいんやけど。


「そういえばあの人ら、キスしたはりましたね」
「、え!」
「部長と、千歳さん」
「…み、見てたんか」
「たまたまっすわ。なあ、謙也くんって、やらしいねんな」
「え、は!?」
「あの二人のキスシーン見て興奮したんやろ?」
「なっ、」
「顔真っ赤やで」
「!」

「俺、謙也くんのそういうとこ、めっちゃ好きっすわ」


にやりと妖しげに口角をあげる財前。は?なに言うてんのこいつ、とか思っていたら、


「謙也くんも俺のこと好きやろ?」


がぶり、と財前に噛みつかれた、俺の口。それはいわゆるキスというやつで、理解するまでにかなり時間がかかった。俺が暴れだすと財前はあっさりと唇を離して、またにやりと笑う。くらくらして今にもぶっ倒れそうだ。頭が混乱して現状についていかない。財前、お前は一体何者なんや。


「なあ俺、謙也くんのもんになったってもええで」
「…は、」
「ほら、返事は?」



あかん、しにそう。









脳内パレード
(固まっちゃって、謙也くんはかわいいなあ)
(まあ、そういう初々しいとこも大好きやけど)




(0726)







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