「愛してる」って言ったら「だめやん」って言われた。そのだめの意味がよくわかっていない俺はただ不安を覚えるしかなかった。なんでなん?

「なあ、だめってなにが」
「わからんのか」
「わかりませんわ、わかりやすく言って」
「俺ら、男同士やん」
「だからなに」
「そやから、そういう法律的に、」
「でも、俺と謙也さんが愛しあったらだめっていう法律はありませんよ」
「…財前」
「だから愛してる」


また、「だめやん」って言った謙也さんの瞳には涙があふれていた。頬にひとすじふたすじと涙をながす。それを俺はじっと見ていた。だってそれは、俺にはよくわからないことだったから。なぜ謙也さんが俺にだめだと言っているのかも涙をながすのかもよくわからなかった。ただひとつわかったのは、ここは彼氏として謙也さんを抱きしめなければいけないこと。ぎゅ、って抱きしめたら謙也さんは肩をふるわせた。顔をあげてまた涙をあふれさせるから、俺はその顔が見えないようにより強く謙也さんを抱きしめた。いややと小さくつぶやかれた言葉は聞こえなかったことにしておく。べつにそうしていたって、謙也さんは俺を拒めないのだから。


「俺は、あかん」
「なにが」
「財前とは一緒にいれへん」
「どういう意味」
「だから、もう」
「それでも謙也さんは俺のこと想うでしょ」
「、」
「俺も同じです。きっといつまでも謙也さんを想いつづける」



またぽろりと涙をながして謙也さんは俺の肩を強くたたいた。このまま俺を引き剥がしてどこかに行くのかと思ったけど、謙也さんの手はそのまま俺の背中を這ってゆるく抱きしめかえしてきた。おどろくと同時に、バカみたいに心臓がうるさくないた。謙也さんにもきっと聞こえているんだろうな。でも耳元では謙也さんの嗚咽と、触れあった体からは俺とおなじようにうるさくないている謙也さんの鼓動が聞こえた。なあんだ。ほらやっぱり、相思相愛でしょ?










メタリック恋愛
(愛に越えられないものはない)





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