「おめでとう」


渡された花はチューリップやバラなどの立派な花ではなく、きれいなピンクと白の名もわからない花だった。これどこで拾ったん?って聞いたら中庭、って即答された。あ、そう。中庭。それならまだ種類のある花かもしれない。くるくると何本もの小さい、今さっき抜いてきましたよ、って花をまわして千歳は何かをしはじめた。何してんの、って聞かんでもすぐにわかる。どうせなんか作っとるんやろ。ってそれ俺にくれた花束ちゃうの?もう花束とも言えんけど。はいこれ、冠。って無邪気な笑顔で俺の頭の上についさっきまで作っていた花の冠をのせられた。似合う似合う、さすが白石。もう褒めてるのかいい加減なのか投げやりなのか。あきれつつもその手作りで誕生日プレゼントとも思えない花の冠に、ありがとうと感謝をした。「どういたしまして」という千歳の顔は純粋に喜んでいるみたいだった。こいつはただのばかだ。でもそのばかにこんなことを許す俺は、大バカ野郎だ。


「それがプレゼントでよかと?」


ああやっぱり。わかってたけど改めて言われるとばかばかしくなってくる。白石、って名前を呼ばれたら俺の頭の上にあった冠をとられて、自分の頭にそれをのせた。似合う?ってそれさあ、俺の誕生日プレゼントやろ。お前もう祝う気ないやろ。白石、ってまた名前を呼ばれて目を見ると、やけに真剣な顔をされた。頭に花の冠をのせて。


「好いとうよ」

「…ありがとう」


今日はもう何もかも許せる気になってしまった。そのくだらない誕生日プレゼントも頭に花の冠をのせたまま真面目な一言をつぶやいた千歳も誕生日おめでとうとすらまともに言われてないことも、全部。それは久しぶりに聞いたこいつの本当で本心の告白があったから。そして重なる唇がそのことをより明確にしていた。俺を大バカだと呼びたいなら呼べばいい。そのかわりこいつのことは俺の恋人の千歳千里だと呼んでくれ。それで許してやろうやないか。











Good time,Bad time,
(これでもすべてが愛だから)
(問題は何もない)





(0415)



白石HappyBirthDay!!





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