家に帰ったら謙也さんがいて、あれ?ってなった。だって今日は部活がない。だから俺は金太郎と梅田まで買い物に行ってきたのに、帰って居間の扉を開いた途端に謙也さんがこたつでのんびりみかんを食べていたからびっくり。俺を見るなりふにゃって笑って「おかえり」って、ナチュラルになにしとんねんこの人。


「なにしてんすか」
「え、遊びに来た」
「遊びに来るんやったらメールしてください」
「ごめんごめん」


それにしてもよく家にはいれたなあとリビングを見渡すと謙也さんに「あ、財前のお母さんが入れてくれはった」と言われた。この人はいつの間に後輩のオカンと仲良くなったのか。まあええけど。母が今いないところを見るときっと買い物に行ったのだろう。すると謙也さんがここに座れと手招きをしたから俺も冷えた体を温めるためにこたつに入った。


「外寒かったやろ」
「まあ、はい」
「なにしてたん?」
「金太郎と買い物行ってました」
「金ちゃんか、ええなあ」
「はあ…」


まるで自分の家のようにくつろいでる謙也さん。ここ俺の家やっちゅうねん。薄い返事に何を思ったのかいきなり手を握ってきて、うわっやっぱ冷たいやんか、と大袈裟に驚いた。うるさいっすわといつもの無愛想で返すと財前は元から体温低いんやからそんな薄着やったらあかんでとか言いながら、謙也さんの手が俺の頬に触れてきた。思わずビクッてなってしまった。謙也さんの手はさっきまでこたつの中に入れてたからか温かい。でもこの人ならいつでもどんなときでも温かいような気がした。まあ謙也さんは高血圧ちゃうからありえへんけど。ふと我にかえって今の状況がめっちゃ恥ずかしくなって、なにしてんすかと思わず手を振り払ってしまった。謙也さんは今までおとなしかった俺がいきなり手を振り払ったことが予想外だったのか、すごくびっくりしていた。しまったと思っていたら、また笑って「ビクッてなったくせにー」って冗談を言う。その笑顔はやっぱりあたたかい。


「まあまあ仏頂面はやめてみかんでもお食べ」
「…うざいっすわー」








ぶっきらぼうなおれ
(まあしゃあないから食べたりますわ)
(なんやそれ)





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