やっぱり作らなあかんのかな、でも俺が作ってもあいつは特に喜ばない気もするなあ、とぐだぐだしていたらいつの間にかバレンタイン当日になっていた。金曜日の財前は、案外普通だった。いつもどうり部活で練習をして、いつもどうり何気ない会話をして一緒に帰った。だから別にバレンタインチョコはいらんのかな?とかちょっとした思いが生まれて作るか作らんかに無駄に2日も悩んで、けっきょく作らんままになってしもたんや。そしたら今朝いきなり財前からメールが来て、「今から家行きます」やって。どあほか!俺なんも用意してへんっちゅうに!でもとりあえず部屋の掃除をして、チョコを作らないまま財前を家に招き入れてしまった。もうなんかあきらめてます。


「謙也さん」
「は、はい」
「なにどもってるんですか」
「や、べつに!」


さっそく勘づかれてしまって、俺の動揺ぶりに勘が鋭い財前はやたら俺を見つめてきた。その目に何もかも見透かされそうで、俺は気まずくなって目をそらした。今さら罪悪感がやってくる。「なあ謙也さん」って財前がいやに真面目な顔をしながら覗き込んで聞いてくるから、よけいにどきりとした。


「チョコ、作らんかったやろ」
「……は、はい」
「別に、ええっすよ」
「えっ?」
「俺、謙也さんがそうやって俺のこと考えてくれてたっていうだけで嬉しいすわ」
「…ほんまかいな」
「やから別にチョコはいりませんし、俺そんなつもりで今日来てませんよ」


お前ってこんなに素直やったっけ?と思えるくらいにいつもの無表情に加え淡々としゃべる財前。そのポーカーフェイスがなんか嘘に思えて、作らんかった俺が悪いのに大人ぶる財前が可哀想に思えた。俺って最低。でもやっぱり期待してたんやな財前、とか思うと余計うれしくなった。矛盾してるなあ。


「…なににやけてんすか」
「うん、財前、ごめんな」
「やからええって言うてますやんか。でもそのかわり、今日1日なんでもしてくださいよ」
「…おう!」











シャラララ
(型にとらわれない財前ってなんか、)(かっこいい)(惚れ直した)





(0225)


すーてきにキーィッス!
次のバレキスは俺らやな!

ってのも入れたかったけどやめておいた。こんなでもバレンタイン\(^O^)/






「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -