スカートひらり | ナノ

*あま個さまへ捧げます
相互記念://真帝でギャグ
〜不動が女装趣味だったら〜


 緑掛かった深い黒のスカートをなびかせて、規定よりもかなり短く加工されたそれが舞う度に見える真っ白い肌。思春期男子の目には少々痛いしなやかな四肢を惜しげも無く晒す人物もまた、俺達と同じ思春期真っ只中の男だった。
 不動はその独特なヘアスタイルから想像出来る様に、少々…いやかなり独特な嗜好を持っている。それは言わずもがな"女装"と言うやつで、短いスカートや可愛いらしいトップスに挙げ句は化粧を完璧に施す拘りようなのだ。以前までは怪しい友人と遊びに行く時等だけでしていた趣味らしいが、最近は学校や休日の昼間にも楽しむ様にその姿を見かける。
今も現在進行形で友人である小鳥遊から借りた女子用の制服を着ているが、如何せん妙に(と言えば失礼だが)似合っているので誰も何も言えない…否、突っ込めないのだ。


「げーんだっ。今日帰りに忍とゲーセン行くんだぜ」
「あぁ、それは良かったな…そのままで行くのか?」
「当ったり前だろぉ?思ってたより俺制服似合ってたし、記念残さなきゃ勿体ねーじゃん」
「確かに似合ってるしな。プリクラだっけ?撮ったら俺にもく…」
「待て待て!源田お前そんなキャラじゃないだろ!?」
「なぁんだ?佐久間ちゃんも欲しい…あ、着替えて一緒に来る?」
「誰が着るか馬鹿野郎!」


恐らく不動と同等に、寧ろ違和感が無い分それ以上に似合いそうな佐久間が噛み付く様に言い返した。因みに俺はプリクラとか言うシール式の小さな写真達を貰った事が度々あるので言っただけである。最近の機能は目を見張るものらしく不動や小鳥遊、たまに成神等が映るソレは見ていて可愛いらしいデコレーションやポージングが決められていた。
 俺は至ってノーマルな男なので最初の頃は疑心や軽い嫌悪感を感じていたが、不動明王という男を知れば知るほどにそういった感情は消えていき、佐久間に突っ込まれるほどアブノーマルな性格へと変化していっている。らしい。(あくまで自覚は無い)


「つうか!何で弥谷ならともかく源田もプリ持ってるわけ!?お前の事信じてたのに…まともなの俺だけじゃねぇか!」
「っるせぇな、耳元で騒ぐなよ佐久間ちゃんよぉ…てかお前ぇこそよくそんな大口叩けるな。俺知ってんだぜ?お前が前に鬼」
「っわぁぁぁぁ!てめぇソレ以上言ったら一号顔面に打つからなぁぁぁ!!」
「?鬼、って鬼道の事か?」
「お前ぇはもう喋んなワイルドマッチョ!」
「な、それは悪口か佐久間!」
「…お前等全員声デカイ!周りをよく見て会話しなさいこの馬鹿共が!」
「「なっ…!?」」
「あ、よう忍ぅ〜」


気がつけば俺達はかなり大きな声で話していた様で、サッカー部をはじめとした生徒が何事かとこちらの様子を伺っていた。小鳥遊はそんな俺達の前に仁王立ちをして、綺麗な眉毛を思いっきり寄せて言葉を続けた。


「不動準備出来たのなら早く行くわよ。佐久間は一号しまって、源田はプリでも何でもあげるからそいつ連れて帰って」
「あぁ、わかった」
「お〜、了解。じゃあな源田…ついでに佐久間ちゃん」
「待て変態!俺はまだ許してな」
「私が黙れつってんだから黙りなさいよペンギン野郎。生魚尻尾から口に入れて鱗で喉ズタズタにするわよ」
「…っ!」


 キッ、と強い目で睨みながらこれまた短いスカートを翻して恐ろしい言葉を残していった小鳥遊に、ピーピー文句を言っていた佐久間が口を押さえて顔を真っ青にしながら全力で首を横に振っていた。…女と言うものは恐ろしいとその場の誰もが思いながら、また誰も口にしなかった。


スカートひらり、
(その後佐久間が鬼道に泣き付いたのはまた別の話)


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