白夜の中で私という人間について問われることがあるとすれば私はさも私という形を成しているかのようであって、それは外に出ても同じであると言えばそうなのだが。しかしそれは私に流れる血がそうでなければならないと私を縛りつけた結果である。そんな昔のことはもうどうでもいいと、割り切れるようになったと思いたいが、まだ無理らしい。
生まれた時から死ぬ瞬間まで私に纏わり付く鉢屋三郎という嘘が私を外へ外へと招くのである。そうして外へ出た私にふりかかるのは嘘に飲み込まれた私の紅い末路なのだろう。

狂って、いるのかもしれない。私にはもう自分が狂っているのか、いないのかすらわからないのだ。それはもう狂っているのと同じかも知れない。三郎と呼ぶその声に、幾度となく、それは誰なのかと悪戯に聞いてやりたかった。

お前は素顔を見せてくれるのか?
それは無理だな
なら、その顔の下に確かにお前がいるなら、それでいいよ


そんな言葉で引き留められてしまう私はまだちっぽけな人間だということだ。それでもいい。まだ私もたまごだから。嘘を纏い真で今日という日を生きていく。




12.0326
BGM:326でパラジクロロベンゼン

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