※現代



湿気と熱気に包まれた箱部屋では俺と20人目の三郎の二人きり。聞こえてくるのは水音と、ときどき三郎に話し掛ける俺の声だけであとは何も聞こえない。

「鉢屋、どうしてずっと一緒に居てくれないの?」

2人の時間は限られていて、どこぞの国のお話のうっかりでちゃっかりなお姫様みたいに0時の鐘が鳴るまでの猶予はない。せいぜい7分、パスタがいい感じに茹で上がる間。陸に恋焦がれた少女のように泡になって消えてしまう。それで俺が何かしら救われるかと言えばそうではない。三郎が俺を愛しているわけでもない。ただただ、何も意味を成さない時間が其処に在るだけ。

「せめて愛してさえくれれば」

なんだって言うんだろうか。





入浴剤に王子様はいらない








12.0207




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