たとえば俺が学園のみんなや学園の外の人、今生きている誰からも愛されなくなったらどうする?


勘右衛門は縁側に寝そべって漠然と考えた。兵助たちに聞いてみたら、何言ってんの勘ちゃんって言われた。

風が頬を撫でていく。足音が聞こえる。足音を消せてないあたりからしておそらく下級生だろう。
勘右衛門が寝そべっていて通れず足音の主は勘右衛門の頭の横で立ち止まり、ひょこっと顔を覗き込んだ。

「こんにちは、尾浜先輩」
「こんにちは、時友」

勘右衛門は会ったばかりの四郎兵衛に先程考えていたことを投げ掛けてみた。四郎兵衛にしてみればいきなりで突拍子もない質問だ。
勘右衛門もとくに深い意味はなく、ただ聞いてみただけだった。四郎兵衛とはとくに関わる機会だって少なかった。
四郎兵衛は少し考えてから微笑んでゆったりとした口調で質問に答えて、勘右衛門に道を通してもらい、また足音をたてながら去っていった。

勘右衛門はまた寝そべって、少しだけ、それでもいいかもしれないなあと思った。



「僕だけが先輩を愛します」







1223〜0302 拍手ログ

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -