※パラレル






「おはよう」

今日も勘右衛門がおはようと言って、勘右衛門特製のコーヒーを飲んで1日が始まる。

「と言ってももう昼過ぎだけどな」

静かだ。
私たちの生活音のほかに何も聞こえない。他には何もなく無駄のない静かさ。淹れたてのコーヒーはその閑散と一緒に体に染み渡る。寒さも暖かさも全部一緒に私の体になる。

「あいつら元気かな」

「どうしたの、珍しい」

古い古い友人のことを思い出す。私たちは常に一緒だった。それはもう可笑しいくらいに気付けばいつも5人だった。なのに今ではもう長いこと2人きりの変わりのない日々。気が遠くなるほど長い長い。

「どのくらい経つっけ。34?」

「36だ」

もうそんなにかあ、といつもの間延びした勘右衛門の声を私は独り占めするようになった。あの駅を降りた瞬間から。振り向けば何もなかった。駅も列車も、あいつらも。
まるで長い長い休暇のような日々はもう36億年も続いている。








11.0123

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