※現代




俺はいわゆる器用貧乏ってやつで。何をやっても普通より上くらいにはそつなくこなせる。勉強だってスポーツだって楽器だって。
みんなは俺を羨ましがる。何でもできていいね、って羨ましがる。けど俺はちーっとも嬉しくない。普通より出来るのは成績にも困らないし人から誉められるけど、ちーっとも嬉しくない。
だってさ、おかけで俺は飛び抜けた才能はないし他と比べて秀でる特技もない。なーんにもないんだ。それ故に、これと言って夢中になるものもない。すぐ出来ちゃうから。


兵助は大学を出てすぐに豆腐のなんとかのなんとかを発見して史上最年少でなんとかっていう素晴らしい博士号を取った。はっちゃんはムシキングになる!と言って世界へ飛んだ。鉢屋は雷蔵をモデルにした妄想小説を書き始めた。雷蔵は図書館で仕事をしている。

いつか雷蔵が言っていた。
本のある空間が大好きなんだと。本に囲まれているのが幸せなんだと。
兵助もはっちゃんも鉢屋も似たようなことを言っていた。



俺はサラリーマンになった。
俺はみんなが羨ましかった。







解決できない難問








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