※現代




雷蔵は黒髪でスタイルのいいしっかり者の子が好きだ。黒髪と言ってもショートは駄目だしロングも駄目で、肩より少し長いめのセミロングを緩めに内巻きにしているのがいいらしい。パーマも好きじゃないしケバいのはもってのほかだなあ。元気系よりもできる女系が好きだね。たぶん。
愛すより愛されたい派だし、甘やかされたい。だからできれば年上で社会人がいい、年下とか面倒じゃないかわがままで。恋人繋ぎも嫌いだなあ、腕組まれるほうが好き。なんか恋人繋ぎって片手塞がるし、手離すときにちょっとごめんねっていう類のこと言わないといけないし。そもそも恋人繋ぎする意味がわかんない。って感じだと思うな、たぶん。

あ、ほら、うーんて言いながら首に手を当てたときはたいてい何も考えてない。めんどくさいときの雷蔵の癖だから要注意。ぷつって糸が切れるから。切れちゃったら私の出番がくるというわけなんだけどね。

私を呼び出して雷蔵の代わりに私が雷蔵の女の相手をする。女はみんな訳が分からず、私に向かってあんた誰どういうことって怒り出す。非難を浴びるのも全部私が代わってやる。その間に雷蔵はたぶん家に帰ってるか街をぶらついてるか、とにかく自由を満喫している。私が雷蔵に代わって面倒事を引き受ければ雷蔵は喜んでくれるし「ありがとうだいすきだよ」なんて言ってくれるから私は本望だ。
それとは全く関係ないことだが近頃の女はなんだ?怒ってても私が雷蔵と同じ顔だからその内、まああんたでいいや、って。挙げ句別れ際には、あんたの方が楽でいい、って、はい?なんだそりゃ。キモチワルイ。
私は雷蔵じゃないと嫌だけどね。
私のこの高尚な雷蔵への愛はあんな低俗な生き物にはわからないだろうな。


そういうわけで私はこうして雷蔵がデートの度に雷蔵たちを尾行している。雷蔵のためにいつでもすぐに参上できるようにな。
ああ雷蔵、雷蔵、雷蔵、雷蔵、らいぞ、

「ほんと、雷蔵見てるときは瞬きしないよなー」


目、乾かない?



乾かない、乾かないからその手を離せ、離せよ勘右衛門。雷蔵から電話だ。行かないと。雷蔵が困ってる。雷蔵のために私は一瞬で参上しなければならないんだ。


「雷蔵に必死で気づかなかっただろ?」


はは、ストーカーがストーカーされてちゃダメだろー、ねえ?鉢屋。





哀れな






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雷蔵ごめんなさい
三郎も勘ちゃんもストーカー

10.1211

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