利吉さんは難しい、と学園一の変装名人と名高い彼が彼特有の挑戦的な目をして言ってきたので、何故だい?と問うてみた。

「利吉さんの笑い方を私は完璧に演じることができないので」

彼の目は弧を描くようで、私にはそうやって挑戦的に他人を見下すような笑みのほうがよっぽどできないと思うのだが。

「何故だい?」
「あなたが人殺しだからだ」
「三郎くん、私は忍だ」
「そうです。利吉さんはフリーの売れっ子忍者で、私は忍たまだ」

言いたいことわかりますよね、と言いたげな目。ああ、ああ、わかる、わからるさ。だが、それなら父上や土井先生、学園長先生だって人を殺したことくらいあるはずだろう。

「あなたは忍びだ」

人間の、人のそれではない。


今まさに目前の狐の面の皮を引きちぎってやりたいと思う心はたしかに、人ではない。
だが君がそう言うのならば、君の友人にも私と同じ目をした奴がいなかったかい?









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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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