綺麗なものを撮るのがすき。可愛いものをカメラに収めるのがすき。だって私は女の子だもの、綺麗なもの可愛いものに惹かれて当然でしょ?野蛮で粗雑で汚い男子には、わからないかもしれないけど。


綺麗で美しいシン様は大好き。他の男の人なんかとは比べものにならないほどシン様は綺麗で、大好き、って言うのが少しおこがましいくらい。シン様は私にとって芸術品。神様がこの世に産み落としてくれた最高傑作。さっきはああ言ってしまったけど、本来ならシン様を他の人間と同じ比重で見るなんて馬鹿馬鹿しさ極まりない愚の骨頂、だってあの人は人類の何もかもから逸脱した存在なのだから。


シン様のことを語るのは宇宙について考えるように果てしなく広大で神秘的で、ちっぽけな私なんかが述べるには手に余ることだから、ちょっとここらで中断。
つまりね、私がシン様を敬愛するのはそうあるべき仕方のない事象だから、それはもう納得するとかしないとかの問題じゃない、呼吸するみたいに自然なことで、それは良いの、構わないの。
でもね、何が不思議かって、こんなに素敵なシン様が身近にいるのに、どうして私の目は剣城くんばかり追ってしまうのかということよ。


剣城くんはお顔はとても綺麗だけど目はつり上がってて怖いし、声も低くて刺々しいし、言葉遣いだって決して良くはない。優雅や上品といった言葉とは無縁、可愛いなんてもっての他。剣城くんを進んでカメラに収めたいなんて思ったことなんてほとんどない。
なのに私の瞳はカメラとは別に私の意思とは全く無関係に剣城くんへと向かっていくの。シン様を見つめている時も、シン様とお話をしている時ですら、剣城くんを見付けてしまうともう駄目。私の目は意識は勝手に剣城くんの方へいってしまう。私の身体なのに私の思い通りにならないの。今日だって、本当ならこうやって呼び止めるつもりなんてなかった。こんな気持ちを話すつもりなんてなかった。剣城くんを前にするとペースが乱れて落ち着かなくて、本当、困ったものよね。
それに、私がこうやってドキドキしてるっていうのに剣城くんはいつも通り怖い表情を崩さないの。ねぇそれって酷いと思わない?そこんとこどうなの、剣城くん?私に言い寄られても貴方は何も感じないのかな?


「何が言いたいんですか、山菜先輩」


あれ、私の言ってることがわからなかったの?まどろっこしい言い方は苦手だった?
しょうがないな、女の子にこんなこと、本当は言わせない方がいいんだけどね。
だからね、剣城くん、



「私、貴方が好きみたいなの。」



【オンナノコ理論】

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Θ様リクの京茜でした!
茜ちゃんのキャラに迷走しました申し訳ない…
いつもありがとうございます、これからもよろしくお願いします!