Miracle of the rose | ナノ


▼ 005




夫人達に声をかけていくマリーと一緒にヴェルサイユの庭園を歩く
ドレスにハイヒールで歩くのには慣れたけどやっぱりコルセットは嫌いだわ



「こんにちは。今日もいい天気ですことね。オルレアン公夫人、モーロウ伯夫人、モールパ伯夫人」

「ごきげんいかがアントワネット様」

「ローベル侯夫人、ランバール侯夫人。午後から公園の森へ散歩に出ましょうよ」

「まぁ、素敵ですわ、ベルサイユは今が1番美しいときですもの」

「ローザン夫人、マントノン夫人今夜のカルタ遊びの会にはきっと来てくださいね。エリザベートだけでなく王太子殿下もご一緒さるますのよ」

「まぁ、なんて光栄でしょう!!」


時折会話に入利ながらそんなことを考えているとちらっとデュ・バリー夫人をマリーが見ているのに気がついた
マリーがニコニコ笑顔を浮かべながら近づくから声をかける?いやマリーのことだから絶対に声をかけないわと思っているとやっぱりマリーはスッとデュ・バリー夫人を通り過ぎ「こんにちは。ジュール夫人」とデュ・バリー夫人といた夫人に声をかけた

そんなジュール夫人はデュ・バリー夫人を気にしながらも皇太子妃であるマリーに声をかけられて嬉しいようだった



「アントワネット様!」

「あ・・・・」


それを見ていたデュ・バリー夫人はわなわなと怒りに震えた



「こ、この・・・!!」




ひそひそひそ


「どうやら王太子妃はデュ・バリー夫人を完全に無視なさるおつもりらしい」

「ど、どうしたものだろうな」

「デュ・バリー夫人の後ろには何と言っても国王がついておられるし・・・」

「しかし、国王陛下が亡くなられたら王太子殿下が即位されて」

「そうなるとアントワネット様女王になるわけだし」

「しかし、なんてったって現在はデュ・バリー夫人の権力が・・・」


「それにしても、オスカル・フランソワはどちらにつくのかしら」

「それは、付き合いの長いデュ・バリー夫人の方に・・・」

「あらあ!!彼は由緒正しいジャルジェ家の出身ですもの・・・」




ひそひそ ひそひそ
貴族の小声を聞きオスカルは笑った



「おべっか使いの貴族どもが慌てふためいて騒いでいるぞアンドレ。マリー・アントワネットかデュ・バリーか。どっちにつくのが自分の得になるか・・・。ははは・・・オスカルはどちらにもつかん!!ふ───この面白い女の一騎打ちをゆっくりと観戦させていただくさ」












アントワネットに素通りされたデュ・バリー夫人の前に誰かが立った



『デュ・バリー夫人?』

「(ミィシェーレ王国の小娘・・・!?私を笑いに来たのか!?)」




マリー少しこれはやりすぎだわ
声をかけるくらいいい加減にしてあげたらいいのに

生粋の皇族であるマリーには我慢ができないことかもしれないけれど

そもそも私の滞在期間も国王に言ってのばさせてしまうし5日間の予定が3ヵ月になるってどういうことよ
マリーと話したりお茶をするのは好きだけど流石に家に帰りたいわ
もちろん革命が起きないようにはしたいけど───

これでデュ・バリー夫人の機嫌が良くなってくれたらいいけど多分無理よね




『デュ・バリー夫人。はじめまして私エリザベート・ミィシェーレと』

「ふんっ!!」



デュ・バリー夫人はエリザベートを無視し去ってしまった

それを見た貴族達がざわざわしだす



「まぁ!デュ・バリー夫人ったらエリザベート様を無視されたわ!!」

「あれが、ミィシェーレ王国に知られたら…!!」

「大変なことになるわ!!」


そしてこちらでも・・・・


「おい、オスカル!!デュ・バリー夫人がエリザベート様を無視したぞ!」

「やはり、娼婦出身だな」

「見ろ、あのエリザベート様のあのお顔」

「(エリザベート様…そのようなお顔は貴女には似合いません───私は・・・オスカルは、貴女の笑顔が好きなのです・・・あの大輪の花が咲いたような笑顔が───はっ私は何を)」









機嫌は良くはならないとは思ったけどまさか無視されるとは思わなかった
でもめちゃくちゃ美人だったわ・・・と
にやけそうになるのしっかり隠せてるかな


「シシィ!?どうしたの?貴女に泣きそうな顔は似合わないわ!!」


マリーが怒ってるけど私は気にしてないしむしろ悪いことをいてしまったのは私のような気がするわ


「デュ・バリー夫人になんか話しかけなくてよかったのに!!」

『マリーダメよ。デュ・バリー夫人は陛下のご寵愛を受けている方なんだから』

「あの人は娼婦出身なのよ!?私から話しかけることなんて出来ないわ!!さぁ、サロンに行きましょう!!」




こうして、エリザベートの努力の甲斐なく
今日もアントワネットがデュ・バリー夫人に声をかけることはなかった・・・









そんなある日オーストリアからアントワネットの母であるマリア・テレジアに言われフランスへメルシー伯がやってきた




「まあっ!メルシー伯!なつかしいわ!なつかしいわ!なつかしいわ!!お母様はお元気?グルック先生は?ああ!オーストリアはどんな様子!?今、エリザベートもまだこちらにいるのよ!!メルシー伯もお会いになるでしょう?でも、シシィは今日帰る予定だから今からここによびましょ!!あぁ、シシィがいなくなったら寂しくなると思っていたときにメルシー伯がくるだなんて!!私とっても、嬉しいわ!!それにシシィ以外とはフランス語ばかり喋っていたからとても窮屈だったの!!」

「アントワネット様、お懐かしゅうございます。勿論エリザベート様にもお会いしたいですが、先に…私は母君のマリア・テレジア様のお使いとしてこの宮廷に参りました」



そう言われたマリーはあたふたしながら「あ、あのね、ちょっとしばらくごたごたしてて・・・本当よ!けっしてなまけていたわけじゃないの」と答えそれを聞き「やれやれ。やっぱり!」と思うメルシー伯を見てくすくすとばあやと一緒に笑った










その後仕事があるばあやを部屋に残してマリー、メルシー伯と3人が庭園を散策にでる
今が一番美しい時期というだけあって様々な花が咲く庭園は本当に美しくメルシー伯も素晴らしいと感嘆の声をあげていた



「どうです、美しい庭園でしょう。私の結婚式の時にはこの庭が下々の庶民にも開放されたのよ!」


久しぶりに会えたことが嬉しいのかそれとも結婚式の日のことを思い出して興奮しているのか目をキラキラさせなが「ね!」と同意を求めるマリーが可愛い


『えぇ。それはもう盛大に祝われて、国民の方も沢山祝福してらして凄かったのですよ、メルシー伯』

「そうだったのですか!ところで王太子殿下のお姿が見えませんが…」

「あぁ、王太子様は、また鍛冶場にこもって錠前づくりなの」

「錠前とはあの?」

『ちょっと珍しい趣味をお持ちの方なのですよ。ですが、王太子さまはとてもお優しくていいお方ですよ、メルシー伯』

「エリザベート様がおっしゃられるならそうなのでしょう」




アントワネットがお辞儀をしている婦人たちに気づくがデュ・バリー夫人に気づくとそっぽを向いてしまった

それに気がついたメルシー伯は・・・



「(あれは確かデュ・バリーとかいう・・・国王の愛人ときいたが・・・はてアントワネット様は余りお気に召さぬご様子)」





「もう、何ヶ月にもなるのに・・・」

「まだ、ひとことも・・・」

「流石のデュ・バリー夫人もワナワナ震えて真っ青」



「よし!わしゃあアントワネット様の方にかけるぞ」

「なにを!それならわしはデュ・バリー夫人のほうに5000リーブルかける」



メルシー伯は夫人達の会話と男性貴族それぞれから聞こえてきた会話に顔を青くさせた


「(こ、これは・・・!では、アントワネット様は国王陛下の愛人に真っ正面から!!なんと!そんなことをしてもし、国王のお怒りをかったりしたら・・・!!)」



「メルシー伯!!メルシー伯!!」

「あ、どうかなさいましたか?アントワネット様…?」

「どうかなさいましたか?じゃないわ!!今日シシィがミィシェーレに帰るから、一緒に見送りましょう。といっているの!!」

「えぇ。もちろん、お見送りさせていただきます。」

「もう!ぼうっとして話を聞いていないんだから!!」

『マリーそんなに怒らないで・・・メルシー伯貴方がいてくれるならマリーはきっと大丈夫ね。メルシー伯お願いしますね』

「もちろんでございます。このメルシー伯がいる限りはアントワネット様をしっかり見守り味方でおりますから。エリザベート様はご安心ください。」

「もう!!シシィもメルシー伯も失礼しちゃうわ!私なら大丈夫よ!!」

『ふふっ。それならいいのだけれど・・・』



ミィシェーレに帰ったらマリーに手紙を書いてフランスとどうにか同盟を結べないかお父様たちに話してみよう
原因の一つであるフランス国民の経済状況をよくできるようにせめてできれば・・・




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