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ミィシェーレにいるお母様
貴方の娘はフランス滞在3日目の今日もヴェルサユ宮殿では昼間っからパーティーに出席中です
毎日毎日よく飽きないなと思てしまう私は王族失格なのでしょうか?
部屋でお母様への手紙を書いている私は広間でのことなんて全く知らなかった
その頃
見事なドレスに身を包んだデュ・バリー夫人に会場にいた夫人達が続々と集まってきた
「まぁ!!」
「皆さん。ご機嫌いかが?」
「デュ・バリー夫人のドレスなんて、素敵なんでしょう!!」
「私今までこんな豪華なドレス見たことありませんわっ!」
デュ・バリー夫人のドレスを口々に褒める婦人方
それに対しデュ・バリー夫人は優越感を感じていた
しかし、デュ・バリー夫人が気になるのはアントワネット
「(いないわ、あの赤毛のチビ・・・どこに行ったのかしら・・・)」
そんな中オスカルが登場しデュ・バリー夫人に集中していた視線がオスカルに向けられた
「ねぇっ!!オスカル様よ!!」
「今日はまた一段と颯爽とされて・・・!!」
「冷たいわ。オスカルは・・・」
「私達とは決して、お喋りはしてくれないんですもの・・・」
「そう。だから昨日のアントワネット様とエリザベートお話しされていたのを見て驚きましたわ!!」
「でも、流石のオスカル様も王太子妃殿下のアントワネット様とミィシェーレ王国の王女でヨーロッパ1の美姫のエリザベート様にお声をかけて頂いたら話してしまいますわ!!」
貴族の夫人達が話しオスカルに見惚れている中アントワネットが登場した
「まぁ、オスカルご機嫌よう」
「はっ!!」
「オスカル、あなたちっとも他の人みたいにお喋りしたり、踊ったりしないのね。どうしてかしら?」
「はぁ…」
「ねぇ、今度午後のサロンにいらっしゃいな!!」
「折角ながらアントワネット様。オスカルは男ですし軍人でございます。私のすべきことはお喋りではなく、フランス王家をお守りすることだけでございます。」
「まぁ…!!」
「失礼いたします」
「(あの赤毛のチビ・・・この前はこの私がどういう地位にあるか知らなかったろうから私に声をかけるのを忘れていたみたいだけれど。ふふ、今日は・・・)」
「皆さんこんにちは。ごきげんいかが?」
「ごきげんいかがデュ・バリー夫人」
「まぁ、今日も相変わらずお美しいですわ!!」
デュ・バリー夫人達が会話している方を見るアントワネットはデュ・バリ夫人なに負けてられないとばかりに周りの夫人たちに声をかけた
「皆さん!!こちらにいらっしゃいません!!おばさま達とお話しましょうよ」
「午後からみんなで馬の遠乗りをしようと相談しているのよ」
そわそわ ひそひそ
デュ・バリー夫人の元にいた夫人方が少しずつデュ・バリー夫人から距離をとって1人、2人と次々にデュ・バリー夫人から離れていく婦人方・・・
わいわい ざわざわ
「あ、あの・・・デュ・バリー夫人。では失礼しますわ」
「あ、わ、私も」
「遠乗りにはデュ・バリー夫人もいらっしゃるんでしょう?ほほほ…」
それを遠目に見ていた夫人たちはヒソヒソと口元を見えないように隠しながら話していた
「ほら!!デュ・バリー夫人が・・・」
「え?なんですって?」
「そういえばアントワネット様はまだ一度もデュ・バリー夫人にお声をおかけになってませんわね」
「あら?そういえばそうね」
「そうだわ!!」
「いくら国王陛下のご寵愛をうけていて宮廷一権力があるデュ・バリー夫人でも」
「身分からいえばけっして高くはありませんもの」
「王太子妃殿下に自分の方からお声をかけることなんてこんりんざいできませんものね」
そんなアントワネットにデュ・バリー夫人もアントワネットが何をしようとしているのかを感じていた
「(こ、このあまったれのオーストリア娘・・・!まさか・・・まさかこの私をみんなの前で公然と無視しようなんていうつもりでいるんじゃ・・・!?)」
その頃会場を出て行ったオスカル達はというと
「おいっオスカル!!なんだって王太子妃のお誘いを断ったんだ!?このバカ!とんま!どじ!王太子妃のサロンに呼ばれるなんて出世間違いなしだってのに!!」
「アンドレ!貴様も宮廷の堕落した貴族どもと同じ考えか!?お前がばあやの孫でなかったらよこっつらはりたおすところだ!!」
『まぁ、オスカル様。そんなに大きなお声を出してどうかなされましたの?』
お母様の手紙をばあやにお願いして広間に向かってると前の方から大声が聞こえて誰かと思ったらオスカルとアンドレ達だった
あんなに綺麗な顔をしていて普段は冷静そうなオスカルも大声を出すのだと少し意外だった
「「エリザベート様!?」」
「いえこれは・・・」
『アンドレ様も驚いてらしたわ。ね、アンドレ様?』
普段なら気づくだろうに話に夢中で気が付いてなかったオスカル達は驚いていた
「あ、いえ・・・・・」
「アンドレそうなのか?」
アンドレをギロっと睨みつけるオスカルに今日はオスカルの意外な部分をたくさん見るなと思わず笑ってしまった
「あ、いや。オスカル、お前が急にデカイ声を出すから・・・」
『ふふ。それにしてもお二人は今日はいらっしゃらないの?』
「先ほど少しですが行ってきました。それに今日は他にやらねばならないことがありますので」
『そうなの・・・なら、また後日お話しましょうね』
「はい。機会があれば。───では、我々は失礼いたします・・・」
『えぇ、止めてしまってごめんなさい。お仕事頑張ってくださいね』
「はっ!では、失礼します」
仕事へと戻るべく私がきた方向へオスカルとアンドレが去っていったのを見送り会場へ向かった
私が広間にやってくるとそれに気がついたマリーが笑顔で駆け寄ってきてくれた
「シシィ!!待っていたのよ!あなたも一緒に馬で遠乗りに行くでしょ?」
『馬で?』
「えぇ!!」
『久しぶりのマリーからのお誘いだものもちろん喜んで』
最初は怖くて馬なんか乗れなかったけどアントワネットや兄達のおかげで今では乗ることができる
もちろん一人ではいまだに無理だけど
そんな中デュ・バリー夫人がイライラした様子で出ていくのが視界に入った
え、デュ・バリー夫人でっていってしまったけど───
『ねえマリー、デュ・バリー夫人が出て行ってしまったけれどよかったの?』
「あの人はいいのよ!それに、あの人はシシィが気にするほどの人ではないわ!さぁ、行きましょう!みなさんも!!」
『マリー・・・』
マリーもしかしてデュ・バリー夫人にまだ声をかけてないの?
確かに歴史でもそう書かれているけどまさかここまで徹底的にやっているとは思わなかった
これ国王様怒らないかしら───そろそろ限界なような気がするわ
こうしてアントワネットがデュ・バリー夫人に声をかけることは今日もなかった・・・
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