Miracle of the rose | ナノ


▼ 002


リーン・・・リーン・・・リーン・・・


1770年5月16日
王太子ルイ・オーギュストとマリー・アントワネットの結婚式はベルサイユ宮殿内の礼拝堂で貴族、僧侶6000人の列席のもとにとりおこなわれた・・・




「続いて、ご結婚証書へのサインでございます」



ルイがサインをし続いてマリーアントワネットがサインをするが───ぽとり。黒いインクのシミが結婚証書についてしまった


「「あっ!」」

「なんということだ。結婚証書にシミが・・・!!」

「前代未聞のことだ!」

「何か不吉なことが起こるのでは・・・」

『・・・・・』




この結婚式は不吉な結婚式として語られることになってしまう
たった一つの染みのせいで・・・

なんだかやな感じだわ
みんな不吉だとは言いながらもなんだか楽しそう
ほんとに不吉だと思うなら黙ってればいいのに


マリー気にしてないかしら───








結婚式が終わり滞在中に使うことになっている部屋に戻り椅子に座った

やっと終わった
長ったらしくやって参列してるほうね身にもなって欲しいわ


『ばあやも疲れたでしょう。長旅で大雨のせいで結婚式の前日の夜に到着で数時間寝て結婚式の為の準備だったもの』

「いいえエリザベート様を着飾ることは私の生き甲斐ですから!」

『ありがとう、ばあや。私ばあやがいなければ生きていけないわね。服も髪もお化粧も全てばあやに任せっきりだもの』

「私が生きている限りエリザベート様のお世話は他には譲りませんわ!」

『ええ、よろしくね』



マリーの結婚式でのことを思い返す───結婚証書のシミってそんな悪いものなの?
さっきも思ったけど羽根ペンのインクがつきすぎてたせいでしょ。
不吉だ不吉だってみんなして言って。
それに結婚式にお金かけすぎ。そりゃ国民は未来の国王夫妻の結婚を喜ぶに決まってる。
だって未来の自分たちの生活があの2人にかかってるんだから

でもこれはお金かけすぎよ。税金でこんなことしてればそりゃ国もダメになるわ。それがたまたまマリーアントワネットが王妃の時に重なっただけよ。ルイ15世。歴史に載ってる通りあの人かなりの浪費家だわ




コンコン



「誰でしょう?見てまいりますね」

『ええ』



マリー達の現代でいう披露宴の準備で忙しい時に誰かしら?



「まぁ!マリー様!」

「こんにちはシシィはいますか?」

「はい。いらっしゃいますよ」

「シシィ!」

『マリー?!』




マリーがどうしてここに?今は披露宴のために準備中なんじゃ
にこやかに笑っているマリーをみて会えたのは嬉しいけれどここにいて大丈夫なのか不安になるわ



『マリーあなたここに来て大丈夫なの?』

「ええ大丈夫よ」

『ほんとに?』

「ほんとに」

『でもあなた準備があるんじゃ、』

「準備はするわ!でもシシィに先に会っておきたかったのよ」

『マリー』




マリー不安よね。マリーの両手をぎゅっと私は握りしめた───少しでも不安が取れるように




「シシィはフランスにいつまでいるの?ひと月?ふた月?あ!半年?」

『マリー。私は5日後には帰るわ』

「え、」



ショックを受けているマリーを見るのは辛いけれどこれは仕方がないのだ。国王夫妻である両親との約束だから、



『式が終わって5日までの滞在とフランス国王陛下にもう連絡はしてあるとお父様達に言われているの、』



フランスへの滞在期間は7日間であるとフランス国王であるルイ15世には連絡済みであると国を出る前にお母様からも言われたからほんとだと思う。それに両親たちとの約束を破ればマリーと会うことはほぼ0であると思うから




「そんなに短いのね・・・」

『ごめんなさい。でもお手紙は沢山書くわ!マリーがまだあるの?!て驚くぐらいたくさん』

「私も書くわ!シシィがマリー送りすぎよ!て思うくらいたくさんたくさん書くわ」

『マリー』

「シシィ」



ぎゅっと抱きしめ合った瞬間ポロッと涙から1粒零れた
残りの滞在期間は5日。それまでたくさんマリーと時間が許す限り話そう。
そして無知なこの王太子妃となった親友に知恵を少しでも多くさずけよう
マリーアントワネットの運命をかえるために









マリーは準備のため自室に戻っていった。
彼女がいなくなった部屋はやっぱり少し寂しい
豪華絢爛な室内をみてはぁとため息をついた私をばあやがちょっと怖い顔で見てきたけど私は知らんぷりで部屋の中を見渡した

───こんな豪華な城を国民は今はまだ憎悪の対象として見ている人が少ないけれど少しすれば・・・




『はぁ』

「エリザベート様ため息などはしたないですわ」

『でもばあや。この部屋をみて思わない?こんな豪華絢爛なお城で毎日のように晩餐会女性たちは煌びやかなドレスや装飾品を身にまといやってくるのよ?』

「ミィシェーレでは晩餐会をする分税金を多くとられますからね」

『晩餐会なんて退屈じゃない』

「それでも必要な場合もございますから」




私にはやっぱり理解できないわ。着飾るのは確かに楽しいけれど毎日のようにしたいとは思わないもの
ふぅ。と息を吐いたその時コンコンと扉がノックされた
「きっと呼びに来た侍女ですね」と扉に近づくばあやをみて誰か来るならこんな寛いでいたらだめかと思い座り直した



「大変お待たせいたしました。準備が整いましたので広間にご案内いたします」

「エリザベート様広間に参りましょう」

『ええ』




さぁ。戦場へ参りましょう





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