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テレジア様が亡くなったことに衝撃を受けた11月から少し経った翌年の2月5日私は第二子となる男の子を出産した
「ルーはどーしてねてばかりなの?」
『セシィも赤ちゃんの頃はそうだったのよ?』
つまらなそうにするセシリアに私とハンスは顔を見合わせてくすりと笑った
結局あの後マリーを止められるものはおらずマリーはほとんどを小トリアノン宮で過ごしているらしいくそのことはジャルジェ家に滞在している私たちの耳にも入ってきていた
そして貴族たちがマリーをよく思ってないということも・・・
後ひと月で5月になる
つまり私たちがフランスへ戻って2年経ったということ
マリーとのことももちろんだけどその前にまずは食料問題
陛下たちとの話し合いでミィシェーレからの支援案はまとまった
これで全てのフランス国民を救えるわけではないけれど国民の不満は少しはマシになるはず
「おかーちゃま?」
『セシィはフランスが好き?』
そう聞いた私にセシリアは目をぱちぱちとさせてから満面の笑顔で大好きと答えた
『お母様もフランスが大好き。だからねフランスを助けてあげたいの』
「???」
『まだセシィのは難しいかもしれないけどセシィが王様になった時にもしフランスを助けてあげてね』
まだ難しいかなとは思ったけど私がルイ16世の治世でのフランス革命を起こさないようにしたとしてセシィが王位についた時にフランス革命が起きないとも限らない
この子に重荷を背負わせてしまって申し訳ないけれどこの子にも助け合えるそんな女王になってほしい
まだまだ先のことだけど
「たすける!!」
『ありがとうセシィ』
大丈夫お母様も頑張るから
それから一月後の5月17日
フランス国王ルイ16世はミィシューレ王国から小麦を支援してもらうこと。そしてそれらは全て貴族を除いたフランス国民へ配ることを発表した
そのことに国民は歓喜した
国王陛下はしっかり国民のことを考えてくれていたと
そしてミィシェーレに対し感謝した
同盟国を結んでいるわけでもないミィシェーレがなぜ?と疑問も湧いたが王女であり王位を継ぐエリザベートがフランスにいることを
思い出しだから支援をしてくれるのだと悟った
7月国民へ小麦粉が配られ一時的にだが国民は飢えから解放されたがアントワネットが第二子ルイ・ジョゼフ・グザビエを出産した10月には再び飢えるようになっていた
『マリーが第一王子を!』
「これでフランスも世継ぎ問題は大丈夫そうだなオスカル」
「ああ。貴族たちは毎日お祭り騒ぎさ」
毎日?また国民の中には飢えてきている者もいるというのに?
フランス貴族はなにも学んでないんだわ
『オスカル』
「はいエリザベート様」
『国王陛下は現在の国民の様子をご存知なのかしら』
「それはどういう」
『国民はまた飢え始めているのよ・・・』
こちらが支援をしてもこれでは意味がないわ
フランス貴族がこの危機的状況に気が付かなければ
どうしたらいいのかしら・・・マリーに逢おうにも今のマリーは私よりもポリニャック夫人を信用しそうだし
マリーがしっかり話を聞く人なんて・・・・・・・
そこで私ははっとなって隣に座っているハンスを見た
「エリザベート?」
「エリザベート様?」
『・・・・・・・ハンスの言葉ならマリーも聞いてくれるかもしれないわ』
「それはそうかもしれません・・・ですがフェルゼンをトリアノン宮へ連れて行くなどなりません!!」
「エリザベートそれには私も賛成はできない。私はアントワネット様に会うべきではない」
そんなことはわかってる
だけどなんとしてでも王妃の首飾り事件が起きる前にマリーを止めないといけないのよ
私はすでに動くのが遅かったということに気がついていなかった
ロザリーの姉であるジャンヌがすでにマリーに恋心を抱いていたローアン大司教を保証人として契約をし
すでに160万リーブルの首飾りを手に入れていただなんてことに
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