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オスカルやロザリー達がミィシェーレからフランスに向けて先に出発して1ヶ月後
セシリアが誕生して半年後の1779年5月20日
『お父様、お母様・・・では、行ってまいります』
「体調には気をつけるのですよ…何かあればすぐに連絡しなさい・・・それから」
『お母様、私は大丈夫ですわ。必ずミィシェーレにお母様のもとに帰ってきますわ』
「エリザベート・・・私の可愛いシシィッ・・・必ずですよッ・・・・・」
『お母様とのお約束必ず守りハンスとセシリアと3人で帰ってきますわ』
「エリザベートそろそろ行こう」
『そうね・・・お父様、お母様お元気で・・・行ってまいります』
次期ミィシェーレ王国女王##NAME1##・ミィシェーレ
ミィシェーレ王国王女の夫ハンス・アクセル・フォン・ミィシェーレ
ミィシェーレ王国王女##NAME1##の第一子セシリア・ミィシェーレ
の3人は国王、王妃、そして国民に見送られながらフランスに向け出発した
春が去り夏に差し掛かった暖かい日のことだった───
フランスへ向かう馬車の中
エリザベートは愛しい娘を抱きながら不安と格闘していた
「エリザベート・・・」
『大丈夫・・・大丈夫よ』
マリー・・・マリー・・・私の大切な友マリー・アントワネットッ───あなたと仲直りできる・・・そうよね?
「・・・・・・・」
エリザベート・・・君がフランス王妃を信じるのであれば私も信じよう・・・・
大切な友 マリー・アントワネットのもとに行くべくエリザベートを乗せた馬車は静かに整備されたミィシェーレの花々が咲き誇り人々の歓声に包まれた道を走る
一人の男を巡って仲違いしてしまった二輪の薔薇
青薔薇は男に愛され恋の花を大輪の花として咲かせ
赤薔薇は初恋は叶うことなく恋の花を散らした
仲の良かった二輪の薔薇は異なる運命を歩く
大輪の花を咲かせ光り輝く青薔薇は国民から愛され夫から愛され大切な友と以前のように笑いあうことができるように赤薔薇が咲くフランスへ向かう
花を散らし寂しげに咲き誇る赤薔薇は寂しい煌びやかな宮殿で愛しい男を想いながらも大切な友と以前のように笑いあえることを願う
フランスに着いたエリザベート達は滞在先であるジャルジェ家に来ていた
「エリザベート様!」
「姉様!」
オスカルとロザリーが玄関の前で馬車から降りてくるエリザベート達を出迎える
『ロザリー!オスカル!!』
私ははセシリアをばあやに渡しロザリーを抱きしめた
「姉様お会いしたかったですッ」
『私もよロザリー』
フェルゼンはそんな妻達を微笑ましく思う
「フェルゼン。いや、もうフェルゼンではないか」
「いや、フェルゼンのままでいいさ。ミィシェーレでも言ったじゃないか」
「そうだったな」
少し離れたところでオスカルと話しているフェルゼンのもとにエリザベート達が近づいてくる
『オスカル、お久しぶりね。お元気だった?』
「はい。エリザベート様こそお元気でしたでしょうか」
『えぇ。元気すぎて困ってしまうくらいに』
ふふ、と笑うエリザベートにフェルゼン達もくすりと笑い中へどうぞと言うオスカルの案内でジャルジェ家へ入っていく
家の中に入ると使用人とジャルジェ家の当主夫妻、そしてアンドレとシャルロットが迎えた
「エリザベート様・・・」
『ジャルジェ伯爵そんなにかしこまらないで下さい』
エリザベートは深々と頭を下げるレニエに頭を上げるように言った
『私達はジャルジェ家にいる間はただの居候ですもの。』
「居候などとんでもありません!ミィシェーレ王国の次期女王となられるお方のご滞在恐悦至極にございます」
『私がミィシェーレ王国の次期女王だとしてもあなた方がそのように頭を下げるのはフランス王室の方々のみですわ。ですから私達にそのように頭をお下げにならないで下さい』
「エリザベート様」
レニエはエリザベートの言葉で頭をゆっくりと上げた
エリザベートが言っていることは間違っていることではない
ジャルジェ家はフランス王室に仕える者
フランス王室の方々───フランス国王陛下こそがレニエの主なのだから
「父さん。エリザベート様はあまり身分を気にされる方ではありません。父さんがなんと言おうとエリザベート様は諦めませんよ」
『ふふ、オスカルの言う通りですわ。セシリアを産んでから決めたことは諦めないと決めましたの。それにジャルジェ家では王家のものとしてではなくオスカルの友人として過ごしたいとオスカルにもお願いしましたの』
「ジャルジェ伯爵。私たちはご子息であるオスカルの友人としてジャルジェ家に滞在させていただきたいのです」
「・・・わかりました。我が家にご滞在の間はオスカルのご友人ということにさせて頂きます」
エリザベート達はレニエの言葉にお願いします。と言い笑みを浮かべるのだった
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