Miracle of the rose | ナノ


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1755年・・・

この年ヨーロッパの4つの違った国々に
やがてフランスのベルサイユで宿命的なであいを持つことになる4人の人間が生まれた



北欧の王国スウェーデンに
高貴な家柄の上院議員の長男として
ハンス・アクセル・フォン・フェルゼンは生まれる

生まれながらに
莫大な資産と高い身分と物静かな賢さと
そして・・・

のちにベルサイユ中の貴婦人たちの胸をときめかせることになる均整のとれた男らしい美貌に恵まれたフェルゼンであった



オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェが生まれたのはフランソワのベルサイユにほど遠からぬ貴族の館

フランス王家の信任もあつく
代々 王家の軍隊を統率してきた由緒ある家の長男であった

巨大な嵐の中にその運命を投ぜられた悲劇の王妃 マリー・アントワネット

1755年 11月2日
マリー・アントワネット・ジョゼファ・ジャンヌ・ド・ロレーヌ・オートリッシュは
フランスとならぶヨーロッパの強国オーストリアに女帝マリア・テレジアの第9子として生まれた

そして・・・
ヨーロッパでもっとも絶対的な強さを持っていた王国ミィシェーレ王国に第5子
ミィシェーレ王国ただ1人の王女として誕生し
のちにベルサイユで起こる4人の運命の中心的存在となるヨーロッパ1の美姫といわれた王女
エリザベート・ミィシェーレが誕生した












エリザベートが、ミィシェーレ王家に誕生してから14年の月日が流れ10年前、4歳の時に出会ったオーストリアの女帝マリア・テレジアの娘であるマリー・アントワネットと親友という間柄になっていた



そんな彼女には人には決して言えない秘密があった





「シシィ!シシィ!聞いている!?もう!エリザベートてば!!」

『え?あ、ごめんなさいマリー。ぼーっとしていたみたいで・・・』

「もう!久しぶりに会ったのに、全然話してくれないんだもの!」

『マリー、本当にごめんなさい・・・そうよね、久しぶりに会ったのに私ったら、本当にごめんなさい・・・』

「わかってくれたならいいのよ!ねぇ、シシィ・・・私。フランス王太子のルイ様と婚約することになったの・・・」

『いまなんて?』

「だから、貴女ともこうして会うことができなくなってしまうの・・・」



違うそこはあまり重要じゃない
彼女は、マリーは今なんて言った?フランス王太子?ルイ様?
やっぱりマリーはフランス王妃マリーアントワネットなんだわ───マリーアントワネット。悲劇の王妃と未来では呼ばれる人・・・マリーアントワネットには別に興味なんて今までなかった。
だって自業自得だと思っていたし。でも今この時代で唯一と言っていい友人であるマリーがマリーアントワネットだというなら話は変わってくるわけで
だってマリーは私の大切な友人・・・親友だもの
歴史なんてもう何十年も前に習ったことだから知識としては役に立たないかなも知れないけどないよりはマシだろうし国に戻ったらまとめてみよう


そう彼女エリザベート・ミィシューレの秘密
それは前世の記憶があることだったのである



『マリー、私たちは離れていても親友よ。貴女がフランスに嫁いでしまってもそれは決して変わらないわ・・・』

「そうね、そうよね、私たちは離れていても親友よね!」

『えぇ、貴女の結婚式には読んでいただけるようにできないかお父様とお母様に私も聞いてみるわ・・・。だって、親友の結婚式ですもの・・・』

「あぁ、シシィ!私嬉しいわ!フランスにいても貴女は私の親友!貴女が結婚式に出れるように私も頼んでみるわ!」



マリーあなたを悲劇の王妃なんかにはさせないわ。

ミィシューレなんて国聞いたこと無かったから異世界かなんかだと思っていたけどフランス、オーストリア、イギリス知っている国名を聞いてからは歴史を変えるのが怖くて人との関わりも最低限にしてきた私を救ってくれたのがマリーあなただった
だから私があなたにできる恩返しをしましょう
あなたを処刑なんてさせないわ











そして1770年マリーアントワネットはフランスへ旅立った




「エリザベート。準備は出来た?」

『お母様。はい。出来ましたわ』

「本当にフランスへ行くの?貴女はミィシューレの王女。貴女が行くことはないのよ?オーストリアから人は行っているでしょうし、」

『お母様。これは私が言い出したことです。マリーにお願いされたことではありません』

「シシィ・・・」

『私もいずれはマリーと同じように嫁ぐ身です。私が嫁げばさらにマリーと会うことは難しくなるでしょう。私を救ってくれたマリーの結婚式をこの目で見たいのです』

「貴女は昔から大人しくてわがままを一切言わない子だったわ、そんな貴女がここまで言うのなら私には止められないわね」




少し寂しそうに微笑むお母様に私は何も言えなかった。
精神年齢が生まれた頃で既に2ぴー歳の私が「ママー」や「おかあしゃまー」なんて言いながらニコニコ嬉しそうにお母様抱きつくということは1度としてなかったしわがままも言わなようにしていた。きっとお母様は一人娘の私とたくさん色んな話をしたかったんだと思う。
だからフランスから帰ってきて私が嫁ぐその日まではお母様やお父様、お兄様方にたくさん甘えよう。私を大切に想い育ててくれた家族に、


国王である父と王妃である母、そしてそんな両親たちを支える臣下達を説得したエリザベートはフランス王太子ルイの妻。フランス王太子妃になるマリーの結婚式に参列する為フランスへ向かうのであった







オスカル、アントワネット、フェルゼン。そしてエリザベート・・・
4人が運命的な巡り合わせをする日は近い・・・

やがておこるフランス革命の中で起こる
オスカル、アントワネット、フェルゼン、エリザベートの4人が複雑に織りなす運命に向かって・・・

エリザベートがミィシューレを出発したその頃
頽廃と陰謀が渦巻くベルサイユ宮殿に向かってマリーアントワネットの輿入れ行列は静かに、厳かに進んでいく・・・





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