Miracle of the rose | ナノ


▼ 033




翌日───
エリザベート、ロザリー、シャルロットは舞踏会へ行く準備をばあやとアンドレの祖母に手伝ってもらいながらしていた

ロザリーとシャルロットはエリザベート
がプレゼントしてくれたもので決まっていたため4人でエリザベートのドレスを考えていた


「シシィお姉様にはこのドレスが似合います!!」


とシャルロットは淡い水色のパールと繊細な刺繍のされたドレスを出す


「姉様にはこのドレスがいいです!たまには可愛らしいドレスもいいと思うんです!!」


とロザリーはピンクのリボンとレースの可愛らしいドレスを出し


「いいえ!エリザベート様には坊ちゃんがプレゼントするつもりでいたこちらのドレスを!」


とアンドレの祖母は爆弾発言をしながら赤のレースと金の刺繍がされたドレスを出し


「何をおっしゃいますか!!姫様には陛下と王妃様そしてこのばあやが考えに考えたこのドレスを着ていただくのです!!」


とばあや白の胸元にダイヤそして金の刺繍がされたドレスを出した


「いいえ!!お姉様にはこのドレスです!」

「シャルロット!姉様にはこのドレスよ!!」

「いいえ!!坊っちゃまが選ばれたこのドレスです!」

「何をおっしゃいますか!!陛下と王妃様方が考えて作られたこのドレスです!!」

『あの・・・』

「いいえこのドレスです!」

「このドレスです!!」

『はなしを・・・』

「これです!!」


エリザベートの声を無視して(聞こえてないだけです)揉める4人

すると・・・


「エリザベート?」

『ハンスッ』


部屋に入ってきたハンスに駆け寄り抱きついた


「どうしたんだ」

『ッ・・・・・・・』


幼い頃にあった着せ替え事件のせいでトラウマになっているエリザベートは無言でフェルゼンに抱きつく

「エリザベート?」


そんなエリザベートを心配そうに見つめるフェルゼンに気がついたばあやがフェルゼンに牙を向けた


「フェルゼン様!!フェルゼン様も姫様にはこのドレスがいいと思いますわよね!!」

「いいえ!!フェルゼン様こちらのドレスですわ!!」

「お兄様このドレスですよね?」

「兄様このドレスよね?」




そんな4人に出したフェルゼンの答えは・・・・・


「申し訳ないが今日エリザベートには私が選んだドレスを着て欲しいんだ」


まさかの展開に4人に雷が落ちた


「エリザベート来てくれるかい?」

『えぇ・・・ありがとうハンス』


先ほどとは打って変わって花のような笑顔を見せるエリザベートに満足そうにするフェルゼンであった・・・



エリザベートフェルゼンにプレゼントされた淡いミントグリーンのリボンとレースの上品でそれでいて華やかなエリザベートらしいドレスを身にまとっていた





「エリザベート」

『ハンス』

フェルゼンがエリザベートのマントを持って部屋に入ってくる

『ハンス素敵なドレスをありがとう。とても嬉しいわ』

「それは良かった。・・・・・・エリザベート」

『なに?』

「私と長い人生をともに歩んで欲しい」

『ハンス・・・えぇもちろん。今はまだ婚約者という関係だけれど・・・私はこの命が尽きるその日まで貴方のそばにいるわ』

「エリザベート違うんだ───私と夫婦になって欲しい。陛下や王妃様は認めて下さった。だからどうか、私と夫婦になって欲しい」

『ハンスッ───えぇッ貴方のそばに妻としているわッ』

「エリザベート・・・」

『ハンス』


2人はそっと口付けをした


「直ぐに式を挙げることは叶わないだろう。それに君はミィシェーレの未来の女王だ・・・」

『ハンス・・・・・』

「陛下たちは夫婦になっても王位につかない限りは留学を許すと言ってくださったが・・・」

『ハンス留学は時間が許す限りは続けましょう?』

「エリザベート」

『ミィシェーレの未来のために』

「そうだな・・・フランスの社交界で得られたものはきっとミィシェーレの未来の役に立つ」

『えぇ』




エリザベートとフェルゼンは抱きしめ合い夫婦になった後もフランスでミィシェーレの女王として相応しい社交性を身に付けるべくフランスで留学を続けることを誓い合うのであった



誓い合った2人は舞踏会に出席するため馬車でベルサイユへ向かう




ベルサイユに着いた2人は先に着いていたオスカル、アンドレ、ロザリー、シャルロットと合流した


『ロザリー!シャルロット!』

「姉様!」

「お姉様!」

『ふふ、3人揃って舞踏会に出席するのは初めてのことだからとても嬉しいわ』

「私もです!」

「私も!」


そんな3人に珍しく礼装をしたオスカルがアンドレを連れ近づいてきた


「##NAME1##様」

『まぁ・・・!オスカル礼装をしていらっしゃるのね!ふふ、とても良くお似合いよオスカル。本当に素敵だわ』


笑みを浮かべながら言うエリザベートにオスカルは顔を赤くした


「ありがとうございます・・・」

『ふふ、きっと今夜の舞踏会では多くの貴婦人方がオスカルに熱い視線を送ることでしょう』

「・・・・・・・・・・」

『ですが約束通り私とも踊って下さいね?』

「!!・・・もちろんそのつもりで今日は礼装をしてきました」

『まぁ!ふふ、では今夜オスカルと踊れるのを楽しみにしています』

「はい。では、エリザベート様、フェルゼン伯、ロザリー、シャルロット嬢中へどうぞ」


エリザベート達はオスカルの案内で舞踏会場へ入って行く
そんな6人を貴婦人達はうっとりした目で見つめた


「ご覧になって!」

「まぁ!お美しいわ・・・!」

「本当!」

「エリザベート様とフェルゼン様が踊られるわ!!」

「やっぱりフェルゼン伯はエリザベート様しか視界に入ってないのよ!!」

「そうね」

「それにしても・・・」

「えぇ」

「美しいわ・・・」

「エリザベート様の花のような笑顔とフェルゼン伯の凛々しさが!!」

「素敵ッ」

「あれには近づこうと思えないわ・・・」

「そうね・・・」

「あ、見て王妃様がお2人に近づいていくわッ」

「まぁ!」



エリザベートとフェルゼンを美しい、微笑ましいとうっとりした目で見ていた貴婦人達の視線が2人に近づいていくアントワネットに貴婦人達の視線が集中する




「フェルゼン、シシィようこそいらっしゃいました。楽しんで下さいね」

「ありがとうございます王妃様」

「あら?シシィ顔色が悪いんじゃない?」

『え?』

「やっぱり悪いわ。ここにいては休めないでしょう。私の部屋で休むといいわ。ノアイユ伯夫人シシィを私の部屋に連れて行ってさしあげて」

『マリー!私は大丈夫よ!だからッ・・・』

「さ、ノアイユ伯夫人」


エリザベートを無理にでも自身の部屋に連れて行こうとするアントワネットをフェルゼンが止めた


「王妃様。エリザベートは大丈夫です。ご心配ありません」

「フェルゼン・・・・そ、そうですか。それならいいのよ」

「私達から王妃様にお伝えしたいことがあるのです」

「私に?」

「はい」


アントワネットの顔が明るくなる


「それは何ですの?まさか、シシィと」

「はい。エリザベートと結婚することになりました」

「!!」


そんなッ そんなッ
あぁ・・・・・これは悪い夢よッ
そう、夢に違いないわ!!
フェルゼンがシシィと結婚する?
嘘よ・・・嘘よッ
フェルゼンッ・・・お願い嘘だと言ってちょうだいっ



「そ、それは・・・おめでとう、ござい・・・ますッ」

「ありがとうございます」

「・・・・・・シシィおめでとうッ」

『ありがとうマリー』

「私は、これで失礼するわ・・・では、楽しんで・・・下さいッ」


アントワネットがポリニャック夫人を連れ去って行く


『ハンス・・・』

「エリザベート何は言わなければならないことだったんだ」

『そうね・・・』

「エリザベートもう一曲私と踊って下さいますか?」


エリザベート手を差し出すフェルゼンの手を笑顔でとった


『喜んで』


エリザベートとフェルゼンが優雅に踊りだす・・・

アントワネットを気にしているエリザベートの意識を自分に向けさせるために───


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