Miracle of the rose | ナノ


▼ 032

数日後 エリザベートはジャルジェ家の庭にいた


「エリザベート」

『ハンスどうかしたの?』

「今日ベルサイユに行こうと思う」

『気をつけて行ってきてね。ロザリー達と何か作って待ってるわ』

「君が大丈夫なら、ベルサイユに一緒に行って欲しい」


その言葉に私は持っていた薔薇を落としてしまう


『それは・・・』

「ロザリー達の前ではああ言っていたが君がまだアントワネット様と顔をなるべくあわせたくないということはわかっている・・・ただ少しでも君を安心させるために一緒に行って欲しい」

『一緒に行くわ』


ハンスは即答した私に驚いていた


「本当か?」

『えぇ』






現在のベルサイユはアントワネットのフェルゼンに対する思いが強くなりすぎ貴婦人たちの間ではアントワネットを「フランス王室に泥を塗ったオーストリア女」と呼ぶ者が多数いた・・・


果たしてそんな中フェルゼンがアントワネットとあった場合エリザベートがどのようになってしまうかが気がかりだったフェルゼンだが少しでも自分が愛しているのはエリザベートだと貴婦人たちの間に知らしめるためにエリザベートをベルサイユに連れていくことを決心したのであった












ベルサイユについた私達はマリーが貴婦人を集めているとは知らず庭園に向かっていた


「まずは庭園に行こう」

『えぇ。ベルサイユの庭園は色々な花々が咲いているから楽しみだわ』


久しぶりのベルサイユの庭園に今はどんな花が咲いているのかしら楽しみだわと嬉しそうに言うエリザベートに笑みを浮かべるフェルゼン


庭園に着いたエリザベートとフェルゼンはフランス王室の象徴でもある百合の花を見ていた


『ハンス見て見事な百合の花が咲いているわ』

「本当だな・・・ここまで見事な百合の花は見たことがない」

『そうね、ミィシェーレにはあまり百合の花は咲いてないもの』

「だが薔薇の花ならばミィシェーレの方が美しく様々な薔薇が咲いている」

『ふふ、えぇそうね』

「エリザベート向こうに・・・」


フェルゼンが言葉を途中で止める


『ハンス?』


後ろを振り向くとそこにはフランス王妃であり親友であるアントワネットがいた・・・


『・・・・・・・マリー』


しかしアントワネットはエリザベートには目もくれずフェルゼンを見つめる
そんなアントワネットは貴婦人達が愚痴を漏らしていることに気が付かなかった

コソコソ ヒソヒソ


「まあ!さすがにフェルゼン伯爵がいらっしゃる場所はすぐおわかりになるようね・・・!!」

「フランス王室に泥を塗ったオーストリア女!!」

「エリザベート様がいらっしゃるのにお声もかけずフェルゼン伯をあんな熱い眼差しで見つめて・・・」

「どうしてフランス王室はあんなオーストリア女を王室に迎えたのかしら」

「どうせならミィシェーレと同盟を結んでエリザベート様をお迎えした方が良かったにではなくて?」

「でもそうしたらエリザベート様はフェルゼン伯とは」

「それはダメよ!お2人を私応援しているんですもの!」

「私もよ!」

「今ではフランス王室はあの女のせいでフランスの恥よ」



マリー・・・貴女はそんなにもハンスが愛しいのね・・・


アントワネット様
貴女がエリザベートを知らずのうちに傷つけていることをご存じないでしょう
アントワネット様
貴女に今は恨みがあるわけでは有りませんがエリザベートのために私は貴女の心を傷つけます
これは私の覚悟なのです・・・ですから許さなくて構いません・・・



フェルゼン・・・あぁ・・・!!
そばに寄ってその胸に抱きしめられたい・・・
この身体中が全部目となって貴方の姿だけを追っているのに・・・
今は言葉を交わすことはおろか見つめ合うことすら許されない・・・

レーヌ・ド・フランス(フランス王妃)という名がこの込み上げる愛をズタズタに引き裂くのです・・・




フェルゼンがエリザベートの肩を抱き寄せた

しかしそんなフェルゼンの行動にアントワネットは我慢が出来なかったのか2人に歩み寄る



「ま、まぁ!フェルゼン!!それにシシィ・・・いらしてたのね!」


顔を引きつらせながら言うアントワネットにフェルゼンは挨拶をした
ただの挨拶だったとしてもフェルゼンが話したのが嬉しかったのか笑みを浮かべるアントワネット


「フェルゼン!!えぇ、えぇ!!本当に・・・!!」

「申し訳ありません。最近はエリザベートの体調が優れなかったのでジャルジェ家で過ごしておりました」

「そうですか。シシィ体調が優れないのであれば無理をしなくて良いのよ」

『ッ・・・・・体調はもう大丈夫だからハンスと来たのよ』

「でも無理をするのはよろしくないわ。エリザベートは無理をしないで帰った方がいいのではないかしら」

「エリザベート。せっかくきたが王妃様もこう言っているし今日は帰ろう」

『そうね・・・王妃様お気遣いいただきありがとございます。せっかくお会いできて嬉しかったですがこれで失礼させていただきます』

「失礼いたします」



アントワネットはまさかフェルゼンまで帰ってしまうとは思わなかった
アントワネットが止めようとした時には2人ーーフェルゼンはすでに後ろを向いていてアントワネットの伸ばしかけた手には気が付かなかった




コソコソ ヒソヒソ



「ご覧になって?」

「えぇ!!」

「あの女ったら王妃の身でありながらフェルゼン伯に声をかけたわッ」

「でもフェルゼン伯と相愛と言うのは嘘みたいだわ」

「えぇそうね」

「フェルゼン伯爵ったらエリザベート様をあんなに愛おしそうに見てらっしゃて」

「でもご覧になって。とても絵になるお2人だこと」

「きっとお2人がご結婚される日も近いんだわ!」

「きっとそうだわ!」

「だとしたらやっぱり・・・」

「えぇそうね」

「王妃様・・・あのフランス王室に泥を塗ったオーストリア女はただの邪魔者だわ・・・」

「えぇそうね」



アントワネットに対する貴婦人達の間での思いは更に悪くなっていくのであった







その夜
ジャルジェ家に帰ってきたオスカルに2人は明日王妃主催の舞踏会が開催されることを伝える
フェルゼンは最初は出席することを悩むがロザリーとシャルロットが出席しようと思うとエリザベートに伝え
約束通り自分も出席すると言ったためフェルゼンも出席することにした・・・





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