▼ 023
「おかえりなさいませフェルゼン様!!エリザベート様!!坊っちゃまから話は伺っております。さぁ、エリザベート様をこちらえ!!」
「すまない」
帰る途中で寝るように言ったエリザベートをフェルゼンは馬車が着いてからも起こすことはなく抱き上げジャルジェ家へ入りアンドレの祖母に案内された部屋にあるベッドに寝かせた
フェルゼンが寝かせると控えていた医師がエリザベートの診察をした
「どうですか?」
「精神的なものだと思われます」
「やはりそうか・・・」
「フェルゼン様なにかお心当たりでも?」
「あぁ・・・」
エリザベートの頭を1度撫でてからフェルゼンはじいに聞いた
「じい」
「はい・・・ハンス様」
「ミィシェーレからの手紙は?」
「まだでございます」
「そうか・・・」
きっと手紙が届くのは明日だろう
やはりエリザベートをフランスへ連れて来たのは間違いだったのでは───とフェルゼンは思ったがミィシェーレ国王の言葉を思い出しこれが最善だったのだと思うことにした
『ハンス・・・』
「すまない。うるさかったか?」
『いいえ。馬車を降りる時に起こしてくれて良かったのに』
起き上がるエリザベートにフェルゼンは寝てるように言った
『ハンス・・・私は大丈夫よ』
「そんな顔を真っ白にして言っても説得力はない」
『ハンス・・・私マリーは私に先に気づいてくれると思ってたの・・・』
いくらハンスが好きだとしても私には気づいてくれる
会えて喜んでくれる
そう信じていた
『でもマリーは・・・』
「エリザベート…」
『私の方が付き合いも長いはずなのに・・・マリー・・・私に全然気がついてくれなかったわ!!』
幼い頃から私達は姉妹のように仲が良かった
マリーとは違ってお兄様しかいない私は親友でありながら妹のようなマリーが大好きだった
マリーもそうであってくれると思っていた
いくらハンスが好きだとしても・・・・・
「エリザベート。フランスにいる間はなるべくベルサイユに行かないでほしい・・・勿論私がベルサイユに行く時はエリザベートも一緒だて。でも、普段はジャルジェ家で過ごそう。陛下からはそれでも良いと言われている」
『でも・・・』
「ここならロザリーもいる。大丈夫だ」
『そうね・・・』
ロザリーは私を慕ってくれている
大丈夫。ロザリーは大丈夫
きっと大丈夫
「エリザベート様!!」
『ロザリー・・・』
「倒れたとお聞きして!」
やっぱりロザリーなら大丈夫だわ
彼女は私を見ていてくれているもの
ロザリーの優しさに私の胸は暖かくなった
『大丈夫よロザリー。心配してくれてありがとう・・・ロザリー・・・大好きよ』
「エリザベート様・・・」
「本当に2人は姉妹のようだ」
『ふふ』
「本当に姉妹のようだだなんて!!そんな恐れおおいことです!!」
『そんな風に言わないで・・・私はあなたを妹のように思っているのよ?ロザリーあなたは自分に自信を持つべきよ。あなたは可愛いわよ』
「エリザベート様は私が今まで見てきた中で1番美しい方です!!そんなエリザベート様に妹のようにだなんて・・・!!」
ロザリーは1度も私を王女とは扱わない
私が誰か知らない間ならそれも別におかしなことではないけど今はもう知ってるのに
ミィシェーレ王女とは一言も言わない彼女がやっぱり好きだなと私は思った
「エリザベート様は私が知っている王族や貴族の方々の中で1番お優しくて心も綺麗な方です」
優しくて心も綺麗・・・本当にそうなのだろうか
私は自分がそうだとは思えない
もちろん私は女神でも聖女でもない
だから心が綺麗でなくてもなんにもおかしくはない
だって人間なのだから
『ロザリー・・・ありがとう・・・でも、私は美しくはないのよ』
「エリザベート・・・ロザリー、エリザベートには色々と教えてもらうといい・・・きっと君のためになる」
『そうね。色々なことを教えてあげるわ』
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