Miracle of the rose | ナノ


▼ 019

フェルゼンはエリザベートの自室に向かっていた


エリザベートやはり君がこんな事をしたのはアントワネット様のことがあったからなのか?
私が君を愛してはいないと思っていたのか?
それほどまでに1人で悩み苦しんでいたのか・・・・私がもっと君を安心させるように行動していれば・・・
エリザベート早く目を覚ましてくれ・・・お願いだ君なしではもう生きていけないんだーーー

フェルゼンは片手でエリザベートの手を握りながらエリザベートの額ににじむ汗を拭いた



「エリザベート」

『ハン・・・ス・・・』

「エリザベート!!」

『置いて、いか・・・ないで・・・』


唸り続けるエリザベートをフェルゼンは辛そうな顔で見つめた

いつまでも私は君と共にいる・・・決して、君と離れはしない・・・
だからどうか目を覚ましてくれーーー


『ハン、ス・・・苦・・・し、い・・・』


まさかとエリザベートの額へ手を当てるとあまりの熱さに驚いた


「こんなにも熱が出るのか!!待っていてくれすぐに医者を呼んでくる!!」





フェルゼンが医師を呼ぶと医師もここまで熱が上がるとは思っていなかったのか驚いた



「思っていたより熱が高いようです」

「エリザベートは」

「心配はありません。1週間程は高熱が続くと思われますのでまめに水分や着替えをした方がいいでしょう」

「わかりました」


それから1週間医師が言った通り熱は下がらず
フェルゼンはまめに水分をエリザベートに与えばあやはまめに着替えをさせた・・・



エリザベートが高熱を出して10日目ようやく熱は下がったがエリザベートが目を覚ますことはなく1年がたっていた

フェルゼンが水分やスープを与えてるとはいえ医師は後1年目を覚まさなかったら栄養失調になり命の危険が出てくるとフェルゼンだけに伝えた








フェルゼンはエリザベートが死なないよう毎日目を覚ますよう祈ったがフェルゼンの思いは届かずエリザベートが眠り続け3年がたったーーーー


「フェルゼン様。これは国王様そして王妃様にもお伝えしましたが3年間エリザベート様を見てきた医師として申し上げます。流石に今年目を覚まさなかったら本当に危険でございます」

「わかっている・・・だが目を覚まさぬのだ!!」


その会話からさらに月日が経ちエリザベートが眠りについて3回目の冬が来た・・・


「エリザベート・・・目を覚ましてくれ」

『・・・・・・・・・・・・・』

「お願いだ」

『・・・・・・・・・・・・・』

「お願いだから目を覚ましてくれ・・・・・」

『・・・・・・・・・・・・・』

「君がいない人生なんて耐えられないんだ・・・エリザベート・・・」


ピクとエリザベートの指が動いた気がしたフェルゼンは必死にエリザベートの名前を呼んだ



「エリザベート!エリザベート!!」

『・・・・・・ん・・』

「エリザベート!!私の声が聞こえるか!?」

『はん・・・す・・・ど、して・・・・』

「ずっとずっと、君の側にいた・・・これ以上は喋らない方がいい・・・3年以上眠っていたんだ・・・声を出すのも辛いだろう。陛下達を呼んでくる少し待って、」

『いか、ないで・・・』

「わかった。行かない。ずっと君の側にいる」

「フェルゼン様・・・・・ひ、ひめ・・・さ、ま・・・はっ!!陛下達をお呼びしてきます!!」


フェルゼンの昼食を持ってきたはずのばあやはそう言って廊下を駆けていった


「ばあやは騒がしいな」

『ハンス・・わ、たし・・・』

「何があっても愛するのはエリザベートだけだーーー私の気持ちはずっと変わってない」

『ハンス・・・・・』

フェルゼンに抱きしめられたエリザベートはハラハラと涙を流した・・・・




「エリザベート!!」

「あぁ・・・本当に目が覚めたのね・・・」

『お、とう・・・さま、おかあ、さま・・・』


エリザベートを抱きしめる王妃と妻と娘を嬉しそうに見つめる国王
そしてそれを愛おしげに見つめるフェルゼン


国王は妻と娘から離れ少し離れたところにいたフェルゼンの元へ行った


「フェルゼン」

「はい・・・陛下」

「そなたの思いがエリザベートに通じたのだそして・・・感謝する」

「そのような!頭を上げてくだい!!」

「フェルゼン・・・そなたの娘に対する愛の深さしかと受け取った・・・これからもエリザベートを頼むぞハンス」


あの日から決して自分をハンスとは呼ばずフェルゼンと読んできた国王がハンスと呼んだ


「もちろんです」

「そこでだ・・・」

「はい」

「エリザベートをフランスに戻そうと思う」

「ーーーーーそれは」

「そこでだハンス。そなたにもフランスに行ってもらいたい・・・ミィシェーレでの遊学の許可をもらいとの気持ちももちろん嬉しいがーーーーだがこのままではエリザベートは真の国王とはなれぬ」

「!!!!!!」

「そなたも気付いてる通りあの子は弱い・・・ここでフランスへ戻らなかったらエリザベートのためにならぬのだ」

「国王様・・・」

「エリザベートもそなたとならば…今ならば行けると思うのだ」

「わかりました・・・ですが、お願いがございます」


フェルゼンにも国王が言いたいことは理解できた
だがこのままではフランスへいくことはできないと思ったフェルゼンは国王に進言した


「エリザベートとの婚約を公表していただきたいのです」


フェルゼンの言葉に国王は一瞬驚いたがこの3年でフェルゼンの気持ちに偽りがなくエリザベートを心から愛していること
そして何より彼なら大丈夫だろうと国王は判断した


「わかった。娘を頼んだぞ・・・ハンス」

「はい」







お母様と話しているとすこ離れた場所で話していたお父様とハンスがやってきた


「エリザベート」

『はい』

「そなたをフランスに戻そうと思う」

『!?』


お父様は今なんて言った?フランスへ行けって言ったの?
どうして??
お母様は知らなかったのかお父様になんでそんなことを言うのかと言っていた



「エリザベート・・・そなたのためだ」


私のため?どこが?
私はそんなの拷問としか思えない
前ならあのこを救うため革命だってなんとかしたいって思ってた
でも今は微動もそうは思えない
絶対にフランスへ行くなんて


『い、や・・・です・・・』

「エリザベート。婚約を公表したいとハンスに言われた。その方がエリザベートも自分も安心だと言われたのだ」

『婚約を・・・』


婚約・・・・・発表?
私、フランスで彼に酷いことを・・・・・



「私はエリザベートだけを愛している。アントワネット様のことはなんとも思っていない・・・だから、私と一緒にフランスへ戻ろう・・・」

『あ・・・わ、たし・・・』

「2人でなら大丈夫だ」

『違う・・・違う!!!私貴方に酷いことをっ』


私には貴方のそばにいる資格なんてない!!!


『私、私貴方と一緒にはいられないわ・・・だって私・・・』

「でもあれは君の本心ではないだろ?」



本心じゃないーーーーうんん
私心の中で思ったもの
本心だわ


『本心よ・・・だって・・・』

「本当に?」



本当よーーーーー本当に?
わからない
だって貴方が愛しいにのは本当
でも怖いの


「絶対に君から離れない。神にじゃない国王陛下達にでもないただ1人の愛する君に誓う」

『ハンス・・・ごめんなさいっ・・・・本当にごめんなさいっ』



フランスで貴方だけを信じると誓ったのにっ



「一緒にフランスへ行こう」

『ハンス・・・』

「大丈夫だから」

『ええ。貴方を信じるわ』




こうして2人がフランスへ戻ることが決まった
しかしエリザベートの体調を考え出発は1ヶ月後寒い12月に決まった・・・





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