Miracle of the rose | ナノ


▼ 017


そんなある日ハンスが本を読んでいるとじいやがオスカルが訪問してきたことを告げた



「フェルゼン様、オスカル・フランソワ様がお目にかかりたいと」

「なに?オスカルが?」


オスカルは神妙な面持ちで部屋へ入ってきた
そんなオスカルの表情を見てフェルゼンはオスカルがなぜきたのかを悟った


「フェルゼン・・・お前に聞きたいことがあってきた」

「そうか・・・大体の見当はつく入ってくれ」

「見当が付いているなら聴きやすい・・・お前と、」

『ハンス今日のお茶は・・・あら?オスカルいらしてたのね』


紅茶を持っていくとハンスとオスカルが真剣な顔で何かを話していた
今日は誰かの訪問予定はなかったはずだけど急用かしら?と不思議に思っていると
オスカルは私がいるとは思わなかったのかとても驚いていた

それにお客様が来るならコルセットも巻いてない格好で行くのは良くなかったわよね・・・
カップを届けたら着替えなきゃだわ


「エリザベート様!?」

「エリザベートオスカルの分の紅茶の準備を頼む」

『えぇわかったわ』


私とハンスようのカップしか持ってきてなかったためお客様用のカップを持ってくるため引き返した私はハンスがオスカルに私たちのことを話してうなんて思わなかった



エリザベートが部屋を出ていくとオスカルはフェルゼンへ詰め寄った



「フェルゼン!お前と##NAME1##の関係はなんなんだ!!」


オスカルはただの恋人ならエリザベート様があのような服装でいるわけがない!と思った


「私と##NAME1##はミィシェーレ王国公認の恋人さ・・・婚約も認めていただいている」

「それは・・・」


オスカルはフェルゼンの言葉に衝撃を受けた
それもそのはずフェルゼンとエリザベートの婚約はまだ発表されていないのだから───


「───ならばなおさら言わねばならない。フェルゼン伯フランスを去っていただきたい。アントワネット様がフェルゼン・・・おまえに惹かれている!!」


ガシャ───ンッ。何かが落ちる音にフェルゼンとオスカルは音のした方を見た
そこには話を聞いてしまいカップの乗っていたオボンを落とし口に手をあて目を見開き固まっているエリザベートがいた


「エリザベート!!」

「エリザベート様!!」

『ま、マリーが・・・マリーがフェルゼンに惹かれている・・・』


やっぱり変わらないんだわ
運命は変えることはできない
きっと歴史は変わらないようになってるんだわ
それなら私は?なぜハンスに出会ったの?
2人がさらに強い絆で結ばれるため?
何それ───私ばかじゃない
ハンスを愛してやっとハンスの愛を信じられるようになったのに



「オスカル・・・・・私もアントワネット様が私に関心を持ち親切になりすぎていることに気がついていた・・・それでも私がアントワネット様のその親切さに甘えていたのは私が親友であるエリザベートの大切な人だからだと思うようにしていた───それは、大切なエリザベートを傷つけることがないようにだ。私は何よりもエリザベートが大切だ・・・オスカル、お前がエリザベートを慕っていることにも気づいていた」

「フェルゼン

「それに、私がスウェーデンに帰るということはエリザベートもミィシェーレに帰るということだ。なぜならそれがミィシェーレ王国との約束だからな」

「エリザベート様が近くからいなくなるとしても、それでもこのままではアントワネット様の身が危険になる。あの方はもう王太子妃ではない。フランスの王后陛下だ!!このままではお前だけでなくエリザベート様にも危害があるやもしれない!!」

『オスカル・・・私が聞きたいのはそのようなことでは・・・ありません・・・』


ハンスに支えられながらオスカルの方へ近づき彼を見つめた
私にとって私の身が危険とかはどうでもいい
今一番聞きたい言葉は・・・確認したい言葉はそれではない
私の聞き間違えであればいい
マリーはハンスに惹かれてなくて私たちを応援していてくれる
そうだと言ってお願いだから



「エリザベート」

『マリーがハンスに…フェルゼン伯に惹かれているというのは・・・ほ、んとうですか?』

「・・・・・・・・・・」

「オスカル・・・なにも言うな」

「───本当のことでございます」

「オスカル!!」

「しかし本当のことだ!!」

『そう・・・ですか』

「エリザベート!私の話を」


彼はマリーが自分を想っていること知ってきたのだ
知っていて宮殿へ行き彼女と笑顔で話ていた
あの美しいフランスの王妃と


『フェルゼン伯・・・私は一旦ミィシェーレに帰ります。それと婚約のことはもう一度話会いましょう・・・』

「エリザベート!!」

『オスカルもお元気で』

「エリザベート!!」


聞きたくない話したくない顔も今は見たくない
貴方と話して何になるの?
貴方は私がどれだけ不安に思っていたか知っていたのに
私には何も話してくれなかったじゃない


『ばあや、ミィシェーレに帰るわよ』

「エリザベート!!」


うるさい私の名前を呼ばないで
いや・・・・・貴方もあの子もこの国も嫌いよ
大っ嫌い───


『ばあや、早く・・・早くフランスから出たいのよ・・・』

「##NAME1##・・・」

「かしこまりました・・・・・」





そうして、最後までフェルゼンの話など聞かずにエリザベートは馬車に乗りミィシェーレへと帰って行った・・・






エリザベートが出ていった扉を見て呆然とするフェルゼンにオスカルは声をかけた



「フェルゼン・・・」
「なぜエリザベートに言った!!アントワネット様はエリザベートの親友だ!!本当のことだと知ったらエリザベートが傷つくとわかるだろう!!」

「だがいずれは知ることになる!!噂が流れもうどうしようもないところまで行った時に知る方がエリザベート様は傷つく!!」

「だが今のエリザベートは不安定だ!!そんなエリザベートに言ったら!!」

「フェルゼン・・・」

「もういい私もスウェーデンに帰る。私はアントワネット様をなんとも思ってはいない。なにがあろうと私にはエリザベートだけだ・・・」

「フェルゼン・・・」

「オスカル、ムキになってしまったことは謝る・・・しかし、私にはエリザベートだけだ。何よりもエリザベートが愛しい。だから次に会った時にまた・・・エリザベートを傷つけたら次はオスカル。お前であろうとも許さない」

「すまなかった・・・」

「お前は私の友だ───次に会う時を楽しみにしている」

「私もだ」



フェルゼンはじいやがいつの間にか用意していた馬車に乗り急いでエリザベートの馬車を追うようじいやに指示指示を出した







「姫様・・・」


ハンスと出逢わなければよかった
マリーと出逢わなければよかった
どちらかと出逢わなければこんな辛くはならなかったのに

せめて記憶がなければ──────

どうして神様は記憶を残したの?
どうして2人と出会わせたの?
どうして───2人を出会わせたの?


こんな辛いなら───



『ばあや・・・』

「はいどうか成されましたか?」

『急いでミィシェーレへ・・・・もっと急いで・・・』

「かしこまりました・・・」




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