Miracle of the rose | ナノ


▼ 016



『・・・・・・・』

「オスカルは目が覚め仕事に復帰したそうだ・・・エリザベート早く目を覚ましてくれ───」


君の声が聞きたい───お願いだ目を覚ましてくれ
とフェルゼンは願いながらエリザベートの手を握った


『・・・・・・ん』

「エリザベート!」

『ハン、ス・・・?』

「良かった本当に良かった・・・」

『私・・・・・』

「あの後君は倒れたんだ」


そうだ私ハンスに支えられながら広間にいってそれで


『アンドレ様は!!』

「オスカルもアンドレも大丈夫だ」


オスカルもアンドレも無事───


『良かった・・・』

「無理をしないほうがいい…1週間も眠っていたのだから…」

『1週間!?』


1週間てあの1週間?!私そんな寝てたの?!
はっ──そうだ


『オスカル様にお礼を言ってないわ!!』

「あぁオスカルなら」


いつも決まった時刻に来るから今日もそろそろ来るだろうと伝えようとしたその時
コンコンとドアを誰かがノックした


「どうぞ」


誰かわかったフェルゼンが部屋に入るよう言うとオスカルとアンドレが入ってきた


『オスカル様それにアンドレ様も!』


ベッドで上半身を起こしているエリザベートを見たオスカル達は心から安堵した


「エリザベートお目覚めになられたのですね!」

『えぇ先ほど』

「オスカルとアンドレは毎日来てくれていたんだ」


毎日という言葉に驚きと共に申し訳なくなってしまった
だってまさか毎日来てくれてるなんて思わないじゃない
心配させてしまったことを謝ろうとしたその時アンドレが両膝をついた


「エリザベート様!!」

『ちょ、───アンドレお立ちになって!!』

「いいえ!!うわけありませんでした!!私のせいでお怪我を・・・!!」

『私の意思で馬に乗ったのですからアンドレ様は悪くはありませんわ・・・さあ、お立ちになってください!!』

「ですが!!」


確かにアンドレの肘が馬の脇に入ってしまったのが原因ではあるけど別にあれはわざとではないしそもそもマリーに言われた時に私が断っていればこんなことにはならなかったのだから
そう思いアンドレを立たせようとベッドから起きよとするとオスカルがアンドレの隣に片膝をついた


「エリザベート様」

『オスカル様貴方には感謝してもしきれません・・・貴方がいなかったら私は死んでおりました───助けてくださり本当にありがとうございました・・・』

「そんな!私がもっと早く行動できていればお怪我を負うことは!!」

『オスカル様怪我は治りますわ─ですが貴方に助けていただけなかったら私はもしかしたら死んでいたかもしれません。本当にありがとう貴方は私の命の恩人です───貴方には何かお礼をしないとだわね』

「エリザベート様・・・・・では、私とアンドレをオスカルとアンドレと呼んでいただけますか?それがお礼で構いません」

『え?それでいいのですか?』

「はい」

『わかりました・・・アンドレ、私の我儘を聞いてくださり本当にありがとう・・・オスカル、私を助けてくださり本当にありがとう・・・』

「オスカル、アンドレ。エリザベートを休ませたいもういいか?」

「そうだな。オスカル行こう・・・」

「・・・・あぁ」

『オスカル、アンドレまたお会いしましょうね』

「はい。失礼いたします」


オスカルとアンドレが部屋を出るとハンスが私の頬に手を添えてきた


「エリザベート」

『ハンスいきなりどうしたのですか?』

「オスカルとアンドレに嫉妬かな」

『ふふ、大丈夫よ私が愛しているのはフェルゼンだけだもの』

「そうだな・・・」





















1774年4月27日のことであった

国王ルイ15世は狩りの途中突然疲労感と頭痛に襲われベルサイユ宮殿の中にあるトリアノン宮で床について翌朝ベルサイユ宮へ移された

ベルサイユ宮では6人の内科医、5人の外科医そして3人の薬剤師の14名からなる医師団がただちに国王の診察にとりかかった

宮廷はにわかに緊張と不安につつまれ慌ただしさを増した

国王は天然痘と診察され

感染を避けるため
法によって国王の病室からいちばん遠い部屋に待機させられていたマリー・アントワネットの胸は激しく震えていた



そして5月7日明け方
凄まじいほどに膨れ上がり腐り続けていく国王に見切りをつけ医師団は病室を出ていった





そしてキリストの教えに逆らい
神を侮辱して側においていた愛妾のデュ・バリー夫人はベルサイユ宮殿から追放され
ベルサイユ宮殿を去る際デュ・バリー夫人は貧しい四輪馬車に乗せられパリの西にあるリュイユの小城へと連れ去られのちに国家の囚人としてポン・トーダムの修道院に入れられてしまう

国王の寵愛をかさにきて国民の税金を最後の一滴までしぼりとり国王から望みのままにまきあげて贅沢と浪費のしたい放題をしていた国王の愛妾・・・

王太子妃さえもその足元に屈服させたデュ・バリー夫人の最後であった・・・





6時・・・
死を目前にした国王の最後の聖餐式と懺悔の聴聞が行なわれる

これが王太子夫妻と国王との最後の別れであった───

1774年5月10日午後3時15分・・・

ものすごい臨終の苦しみは終わった・・・

黒々と膨れ上がり腐り果て顔も見分けがつかぬほどになったフランス国王ルイ15世の逝去であった

今や古い時代は去った

若々しい19歳の国王と18歳の王妃
フランス国民は熱狂し期待に胸を弾ませて2人を迎えた

街々の店のショーウィンドウにメダルに新しい国王夫妻の肖像があふれ

ヨーロッパをあげて新しい時代への喜びに陶酔する中を前国王のルイ15世の柩は深夜サン・ドニ協会へ埋葬のため運ばれていく・・・

柩を守るのはわずか40名の近衛兵と36名の小姓であった───





1775年6月11日
ランス大聖堂においてルイ16世の戴冠式が行われた

戴冠式の後ベルサイユへ騎乗の途中王の行列はルイ・ル・グラン学院に立ち寄り祝辞を受けた




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