▼ 013
翌日ハンスが私の手を握りベッドに伏せって寝ているのを見て驚いた
でもハンスがいてくれて嬉しくて微笑みを浮かべハンスの髪を撫でた
『ハンス、ありがとう───』
「ん・・・エリザベート?」
『えぇ、そうよ・・・おはようハンス───ずっと側にいてくれたのね』
「おはようエリザベート。あぁ・・・君がいつ目を覚ましでもいいようにね」
私はハンスが仮面舞踏会に行く日だったあの日から昨日まで5日間寝ていたらしい
まさかそんなに寝てたなんて
『私も目を覚まして1番に会ったのが貴方で嬉しいわ』
「なら良かったです我が愛しの王女様」
そう言ってキスをしてくるハンスに少し恥ずかしくなる
「今日は安静にしていた方が良いそうだ」
1日安静とかすっごく暇そうスマホが欲しいな───
と思ってるとハンスがくすりと笑った
「私が側におりますよ」
『いいの?』
絶対に暇よ?と言うとハンスは「君といれるなら暇になんかならいさ」と言った
『ハンスってほんとに私のことが大好きなのね』
「君のことしか考えられないくらいには」
私をこんな風にしてどうしてくれるんだいと言うハンスの手を私はギュッと握った
「エリザベート君が倒れたことをミィシェーレに連絡した」
『!!・・・そう。仕方がないわよね』
ハンスの言葉に私は少しホッとした
「君が帰ることになったら私も一度スウェーデンに帰る」
『え、』
「帰った時に父にミィシェーレに留学したいと言うつもりだ」
『ハンスそれは・・・』
「君といられない人生なんて考えられないんだ」
『それは私もよ・・・でも』
でもそれはあなたのためになることなの?───
と言おうとしたその時コンコンとノックされた
「姫様お医者様がお越しです」
『お通しして』
「かしこまりました」
「私は出て行こうか?」
私は腰を上げたハンスの手を引き引き止めた
『側にいてほしいわ・・・』
「わかった」
ハンスはそう言った私にくすりと笑い私が掴んでなかったのとは反対な手で私の髪を撫でた
お風呂に入ってないから髪を触られるのはちょっとと思ったけどでもハンスの手から優しさを感じて自分からハンスの手に擦り寄っているとばあやと一緒にお医者様がやってきた
「ご気分はどうですか?」
『だいぶ良くなりましたわ』
「うん。顔色も良くなりましたし、今日1日安静になさっていれば大丈夫でしょう」
『ありがとうございます』
「では、私は失礼いたします」
『ばあや、先生のお見送りをお願いします』
「かしこまりました」
ばあやとお医者様が出ていくとハンスは元々自分が座っていてさっき待ってお医者様が座ってた椅子に座った
「エリザベートベルサイユにはいつ挨拶をしに行くつもりだい?」
『3日後にご挨拶しに行くわ。ハンス貴方と一緒に』
「だが婚約の件はまだミィシェーレ王室の方々とフェルゼン家、スウェーデン王室そして一緒にフランスへ来たものしか知らない。フランスは知らないはずだ」
ハンスはトップシークレットになってるこの関係がバレないか心配なんだ
でも大丈夫お母様からお許しを得てるもの───
『お母様がハンスと普通に恋人として過ごしてもいいと言って下さったの』
「王妃様が?」
『お父様も渋々ながら許してくださったわ』
「渋々・・・」
『ふふ、私に恋人がいたのがショックだったみたい。だから貴方が気にすることは何もないわ。一緒にご挨拶に行きましょう?』
「エリザベート───あぁ、恋人の君と一緒に挨拶に行こう」
『ふふ、楽しみね』
一晩寝て思い出した
フェルゼンとマリーは本来この前の仮面舞踏会で出逢うはずだった
でもフェルゼンとマリーが仮面舞踏会で出会うというのは私が倒れたせいでなくなってしまった
だけどマリーとフェルゼンが惹かれ合わないと決まったわけではない
親友のマリーの幸せを願ってはいるけれど私はもうハンスの側を離れたくない・・・
マリーのもとへ行って欲しくない───
ハンスの気持ちを疑ってなんかないけど今まで気にしてきたことをいきなり気にするなというのも無理な話で───
何かを思いつめたようなエリザベートを見ていたフェルゼンは
「##NAME1##、今日は安静にして」
『そうね』
「私もここにいるから」
『ありがとうハンス』
「さ、横になって・・・」
『えぇ・・・』
エリザベート。君は時々思いつめたような顔をする
それも、フランスの話をフランス王家の話をした時は必ず・・・
エリザベート、君をベルサイユに連れて行ってもいいか心配なんだ
ベルサイユに行けば親友のアントワネット様がいらっしゃるが───
私はエリザベート君が心配だ
何よりも愛しい君が
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