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1774年1月30日
エリザベート達がフランスへきてはやいもので既に8ヶ月が経とうとしていた
2ヶ月が経つ頃にはエリザベートもあまりアントワネットのことを気にしないようになっていたそんなある日
「そうだエリザベートも仮面舞踏会に行くかい?」
『え?仮面舞踏会?』
「姫様、アントワネット様からのご連絡で今夜テュイルリー宮へお越しいただきたいそうです」
『マリーが!』
「はい」
フランスへ来て8ヶ月
ずっと視察とかばかりでちゃんとお話も出来なかったマリーと会える!
『ハンス』
「王太子妃殿下がお呼びなら無理そうだな───普通の舞踏会ではなかなか一緒にいられないからいい機会だと思ったんだが・・・」
ハンスも私がどちらをとるかわかっていたのか少し残念そうにはしながらも楽しんできてと言ってくれた
『また機会があれば次は絶対に一緒にいくわ!』
「何に行かれるのですか?」
『え?それは』
「言えない所ですか?」
フランスに来てさらに過保護になったばあやに言ったら絶対怒られると思って言わなかったのにハンスがあっさりばあやに言ってしまった
「仮面舞踏会ですよ」
『ハンス?!』
「か、仮面舞踏会!?なりませんよ姫様!仮面舞踏会はなりません!そんなはしたない!王妃様方がおしりになられたら!!」
『大丈夫よ!!』
「いいえなりません
![](http://img.mobilerz.net/img/j/8252.gif)
だから絶対に言いたくなかったのに
これでは次の仮面舞踏会も行けなさそうねと思いながらもこの場を切り抜けるべくハンスの支度を手伝おうと立ち上がった
『あ、ハンスもうそろそろ準備をした方がいいわ!さぁ、準備をしましょう!』
「姫様!」
『さあ、ばあやは外に出て!!』
全くばあやはあれダメこれダメ言い過ぎなのよ!仮面をしてるからそう簡単にバレるわけないんだから許してくれてもいいじゃない!
「エリザベート大丈夫かい?」
『え?もちろん大丈夫よ』
「それならいいんだが・・・」
どこか不安そうにしているハンスを不思議に思いながらも部屋を出ようとするハンスをもう一度見て引き止めた
『まって!素敵すぎるわ!!そんな姿で行ったら───』
「大丈夫さ。私には素敵な婚約者がいるからね」
『ハンス余り遅くならないでね』
「はは。勿論、愛しい婚約者が待っているからね」
『ハンス・・・』
ハンスを見送るために玄関に2人で行く
でも大事な何かを忘れてるような気がして胸騒ぎが止まらない───
「それでは行ってくるよ・・・・・・・・・エリザベート?」
『・・・・・・・・』
「エリザベート!」
『あ、何?どうかした?』
少しぼーっとしてたみたいでハンスが心配そうな顔をしていた
「大丈夫かい?」
『え?』
「だが顔色が」
『大丈夫。行ってらっしゃいハンス』
「あぁ・・・行ってくるよ」
行ってらっしゃいとキスをして馬車にハンスが乗ろうとしたところで私は意識を手放した───
目を覚ますとそこは私がフランスにいる間に使っている部屋だった
『私なんでベッドに・・・』
そうだハンスを見送ろうとして
ああ、私は倒れたのか───
顔を腕で隠した私は自分のダメさに涙が出そうになった
ミィシェーレに帰りたいな・・・・・でも自分で留学を望んだんだから無理か
それにそろそろハンスも私に嫌気さしちゃうかな───
前世の記憶なんてなければいいのに
そうすれば何も気にせずハンスと一緒に生きていけるのに
#名前フェルゼンはドアをそんなエリザベートに少し開けた状態で入れずにいた
『私がいなければ───』
その言葉を聞いたフェルゼンはドアを開けた
『ハンス、あなたなんで』
まさかハンスがいるとは思わなかった
だって仮面舞踏会に行ったはずで
まさか私ハンスが馬車に乗る前に倒れたの?
『ハンスごめんなさい、私心配をかけてしまって・・・』
そう言った瞬間ハンスは私を抱きしめた
「私には君しかいないんだ」
『っ・・・・・』
「君に出逢う前は女性にこんな気持ちを抱くことなんてなかった」
───もう君なしには生きていけない
『ハンス』
私も───私ももうあなたなしでは生きていけないわ
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