Miracle of the rose | ナノ


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時が経ちエリザベートがフランスへ出発する日

あの日ハンスは一泊だけしてスウェーデンへ帰って行った
そして今日一緒にフランスへ向かうため1週間前からミィシェーレに滞在してくれていた



『では、お母様、お父様行ってまいります』

「気をつけて行くのだぞ」

「手紙は書いてくださいね」

『はい、たくさん書きます。お母様達がもう手紙はいらないと思うくらいたくさん』

「楽しみにしています。ハンス様もお気をつけて・・・娘のことよろしくお願い」

「お任せください」



こうしてミィシェーレ王国王女エリザベート・ミィシェーレはフランスへ旅立った






フランスへ向かう馬車の中で向かうに座ったハンスを見ると飲んだか嬉しそうに微笑んでいた
───ちなみに隣同士に座ってないのはばあやがまだ早いと阻止認めというのがあったり


『なんだかハンス嬉しそう』

「君と2人でいられるから今まで以上に楽しみなんだよ」

『ふふ、私もハンスとどのような日々を送っていくのか楽しみだわ』

「姫様、くれぐれも勉学のために行くということを忘れないでくださいね」

『もちろんわかっているわ、私はミィシェーレのためになることを学ぶためにフランスへ行くのですから』

「あと、姫様危険なことはなさらないでくださいね」

「ああ、それは私も約束してほしいな」

『何よ2人して』

「姫様?」

「エリザベート?」

『わ、わかっているわ!だからそんな顔で見ないでちょうだい!!』


エリザベートの返事に満足そうにフェルゼンとばあやは顔を見合わせて笑った

何よ2人してそんな私が問題児みたいに言って
確かにちょっと普通の王女よりは落ち着きはないかもしれないけど許容範囲内よ



『マリー元気かしら』

「マリー?ああ・・・親友のことかい?」

『えぇ、親友のマリー・・・フランスの王太子妃よ』


そして本来ならあなたが恋に落ちるはずの───


「きっと元気さ・・・病気になったとか手紙はとどいてないのだろう?」

「私もお元気だときいておりますわ」

『・・・ばあやが言うなら確かね。マリーに会うのが楽しみだわ』

「姫様、フランスへ入ったようですわ」

『思ったより早かったわね』

「今回は前よりはやい馬車ですので」


なるほど・・・今までは私の滞在時間を短くするために遅い馬車にしてたわけね
まあそのおかげでハンスと出逢えたのだけれど
次からは絶対にこの馬車を使ってやるんだから


「そうだ。途中でじいをひろっても?」

『勿論よ。じいやさんにはお世話になったもの』

「では、あの時の屋敷に行ってもらっても?」


前と同じくらいに着くと予想していたフェルゼンはじいやにあの時の館に先に行ってもらっていたが早く着くと言うことでじいやを途中で乗せてもらうことにした


『ルカ』

「はい、どうかなされましたか?」

『ハンスにお世話になった時のお屋敷に行ってもらってもいいしら?』

「かしこまりました」









じいやを館で乗せ馬車は再びベルサイユを目指し走る



『あの時が懐かしいわ』

「あの時はまさかエリザベートと婚約できるとは思っていなかったよ」

『私もよ。ハンスとは結ばれないと思っていたわ・・・』

「でも、今こうして結ばれた・・・」

『今でも夢を見ているんじゃないかと思う時があるの』

「夢?」

「ええ」



歴史を知っているからあなたとこうして結ばれるだなんて思わなかったから・・・
今でも時々夢なんじゃ───と思う時かある



『ハンス、パリに入ったみたい』

「実はパリははじめてなんだ」

『そうなの?最初に会ったのもフランスだったからきたことがあるのかと思ってたのよ。私も街に出るのは初めてだし色々なところに行きましょう』



エリザベートがハンスと微笑みあったその時「キャアッ」という悲鳴と同時に馬車が急停止した

フランスとルカあんまり相性良くないのかしら
とにかく怪我してないか確認しないととハンスを見るとハンスも同じだったのか頷いてくれた



「ああ」


ハンスが窓から顔を出し「失礼!!お嬢さん怪我はありませんか!?」と確認すると相手は女の子だったのか「は、はい」と言う声が聞こえてきた




『本当に怪我とかは──』

「え?」

『ロザリー!?』

「エリザベート様!?」

『え、本当に怪我はない?!』


エリザベートが馬車を降りたためフェルゼンはエリザベートを呼び止めながら馬車から急いで降りた

だってまさか相手がまたロザリーなんて思わないじゃない
今度は怪我してるかもしれないし


『ロザリー本当に怪我はない?』

「本当に大丈夫です!!」

『本当に?少しでも痛いところがあったら言ってちょうだい』


エリザベートが親しげに話すのを見てフェルゼンは不思議に思った
大国の王女であるエリザベートとこの少女に関わりがあるようには見えなかったためだ


「エリザベート知り合いなのかい?」

『前にも同じようにロザリーを轢いてしまいそうになったことがあるの・・・』

「前にも?」

「エリザベート様本当に大丈夫です!!お気になさらないでください!!不注意とはいえ馬車の前に出た私が悪かったんです!!」

『でも』

「それにまたお会いできて嬉しいです」


瞳をキラキラさせながら心から喜ぶロザリーを見てエリザベートも嬉しそうに微笑んだ


『私も嬉しいわ』

「姫様、そろそろまいりませんと」

「ええ。ロザリー暫くパリにいるからまた会いましょうね」

「え?は、はい!!」


元気に返事をしたロザリーが可愛くてくすりと笑ってしまう
───だって本当に可愛いんだもの
ハンスにエスコートされながら馬車に乗って窓から顔を出しロザリーに手を振ったらペコペコお辞儀をしてきてとても可愛かったから馬車が出発してからも暫く窓からロザリーを見ていた


暫くして窓から顔を戻したエリザベートにフェルゼンがパリの街並みを見ながら話しかけた



「それにしても、表通りにくらべてこの裏通りの貧しさと汚さはひどいものだな・・・」

『えぇ・・・でも、必死にみんな生きているんだわ・・・貴族や王族などが贅沢をしている間もずっと・・・』

「エリザベート・・・」

『もちろんミィシェーレにも貧しい者はいるけれどでも、表通りぐらいの生活はできるようお父様たちは頑張ってい
るのよ・・・なのに、フランスは』

「これからフランスで学ぶことは多そうだ───華やかな面だけでなく」

『ええそうね・・・』




ドイツで造兵学を修め
イタリアで医学と音楽を学び
スイスで哲学を修め
スウェーデンの青年貴族ハンス・アクセル・フォン・フェルゼンはパリ社交界で最後の磨きをかけるためフランスへやってきた
また、婚約者となったミィシェーレ王国王女
エリザベート・ミィシェーレもまたフランスで学ぶために婚約者であるフェルゼンと共にフランスへやってきた・・・

マリー・アントワネット
オスカル・フランソワと
ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン
エリザベート・ミィシェーレとの宿命的な出会いはもうすぐ───




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