▼ 女王の想い
「おかあさまー!!」
ローズグレイのくせっ毛をリボンで結びピジョンブルーの瞳を輝かせた将来は美姫になるであろ少女が母親にとたとたと駆け寄った
「おかあさま!!おかあさま!!あのね!!」
『ふふ、アメリアどうしたのですか?』
少女・・・アメリアの母親でありミィシェーレ王国の女王であるエリザベートに小さなからだ全身で聞いて聞いてと言わんばかりに飛び跳ね抱きつこうとする少女の目線に合わせしゃがみ込んだ
「あのね!ロザリーおねえさまとシャルロットおねえさまがはなかんむりをつくってくれたの!!」
そう言って頭につけている花冠を見て見てと言わんばかりに頭を見せるアメリアだが
しかし
『アメリア花冠がないわ』
「え?」
『アメリアの頭に付いてるのは可愛らしいリボンだけよ?』
「あれ?」
『ふふ、お母様に見せに来るときにきっと落としてしまったのね。さ、一緒に探しに行きましょうね』
「うん!!」
大好きな母の手を握り花冠を探しに行く
「アメリア様!!」
ロザリーがエリザベートとアメリアのもとに駆け寄ってきた
「ロザリーおねえさま!!」
「ふふ、花冠を落とされてましたよ?」
ロザリーは花冠をアメリアの頭に付いてあげた
『アメリアよかったわね』
「うん!みておかあさま!!かわいいでしょ?」
『ふふ、えぇ。とっても可愛いわ。アメリアはお花が似合うわね』
アメリアは大好きな母が褒めてくれたことが嬉しくてエリザベートに抱きついた
「ね・・・陛下。セシリア様とエミリア様、ウィル様、エドワード様も庭園にいらっしゃいます」
『ロザリー私は貴女の姉よ?前のように姉様と呼んでいいのよ?』
「私は侍女の身ですから・・・」
『ロザリー私は貴女に侍女をして欲しかったわけではないのよ。貴女とシャルロットには血の繋がりがなくても私の妹としてミィシェーレにいて欲しかったのよ?』
「ね、え・・・さま・・・」
『侍女としていてくれるのは嬉しいわ。でも、せめて他の者がいない時は前のように姉様と呼んでちょうだい』
「ッ・・・はいッ・・・はいッ姉様ッ」
ロザリーの返事にエリザベートは笑みを浮かべた
「おかあさま!!」
「おかあさま!!」
シャルロットと庭園にいた子供達が母であるエリザベートに駆け寄る
笑みを浮かべながら愛しい子供達を抱きしめた
『ふふ』
「あ!おとうさま!!」
エミリアがフェルゼンに駆け寄りフェルゼンがエミリアを抱き上げる
「エリザベート」
『ハンス。』
「まだ安定期に入っていないんだ無理をしないでくれ」
『ふふ、大丈夫よ。お医者様も外に出た方がいいとおっしゃられていたのよ?』
「エリザベート」
『わかったわ。あなたのお父様は心配性ね?』
お腹に手を置き語りかけるエリザベートにフェルゼンはもう一度名前を呼んだ
「エリザベート」
『わかってるわ。さ、私の愛しい宝物達も一緒に行きましょうね』
子供達、妹達そして何より愛しい夫と共にエリザベートは宮殿の中に入っていった
私の可愛い子供
アメリア、セシリア、エミリア、ウィル、エドワード
私の可愛い妹
ロザリー、シャルロット
フランスにいる大好きな友人
オスカル、アンドレ、それにマリー
そして何より愛しい夫(ひと)
ハンス───
私は大切な家族、友人、ミィシェーレの国民達の為にヨーロッパが平和である様に導きましょう──────
それに・・・
新しい家族のためにも・・・
美しく、強いヨーロッパ一の強国ミィシェーレの女王エリザベートはその後ヨーロッパを平和に導いた人物として語り継がれることとなる
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