▼ 幼き日のトラウマ
エリザベートの12歳の誕生日のその日エリザベートは自室でばあやと2人で既に4時間ほど篭っていた
『あ、あの・・・ばあや・・・』
「あぁ!!姫様動かないで下さいまし!!」
『でも、そろそろ休憩にしない?』
「何をおっしゃいますか!!今日は姫さまのお誕生日でございます!!誰よりもお美しく!お可愛らしくせねばなりません!!」
ばあやはそう言ってコルセットを強く締め直した
『あうっ・・・ば、ばあや・・・締めすぎよっ』
「何をおっしゃいますか!!」
ばあやがまだまだこれでも締め足りないくらいですよ!と言っているとエリザベートの部屋の扉が開いた
「あら!まだ衣装を選んでいたのね!!」
ならちょうど良かったわ!といって王妃であるエリザベートの母は微笑んだ
『お母様っ・・・』
これは嫌な予感しかしないと思っていると嫌な感というのは当たるもので母の後ろから出てきた人物に私は冷や汗がたらりとこめかみあたりをつたった気がした
「王妃様!!」
「シシィお客様を連れてきたのよ!」
『ま、マリー・・・』
「シシィお誕生日おめでとう!!」
笑顔で言うマリーに対し多分私の顔は引きつっていたと思う
『・・・ありがとうマリー』
「まだ衣装を選んでいたのね!なら、私も選ぶのを手伝うわ!!」
はやく来て良かったわ!と無邪気な笑顔を浮かべながら言うマリーと
「なら、私も選びたいわ!ふふ、シシィの12歳のお誕生日だもの!」
いつもばあやばっかりずるいと思ってたのよと美しい笑顔を浮かべるお母様に私はまさか昨年の悪夢が再び・・・と頭を抱えたくなった
「まぁ!王妃様とアントワネット様がお手伝いして下さられたらそれはそれは素晴らしい出来になりますわ!」
「ばあや昨年のを超えるものにするわよ!」
「もちろんでございます!」
と嬉しそうに答えるばあやに私は昨年以上なんて耐えられるわけがないと思いばあや達を止めることにした
『ま、私このドレスで!』
「ささ、姫様お次はこのドレスを!」
「あら!このドレスの方がいいわ!!シシィ次はこれよ!」
「シシィこれも着てみて!絶対似合うと思うのよ!!」
「姫様!!」
「シシィ!!」
「シシィ!」
『あのっ・・・』
詰め寄ってくる3人を私が止められるはずもなくその後さらに3時間私は着せ替え人形のようにドレスを着せられた
最初は楽しく感じた着せ替えもここまでくると楽しくもないただの苦痛の時間である
『(もう、誕生日なんて来なくていいわっ・・・!!!!!)』
エリザベートの心の叫びは3人に届くことはなかった・・・
その後エリザベート誕生日パーティーに出たものの衣装を選ぶのに疲れてパーティーのことを覚えてはいない──────
そしてこの日よりエリザベートにとって誕生日と衣装選びはトラウマになるのであった───
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