Miracle of the rose | ナノ


▼ 008


月日は経ちミィシェーレ



『ばあや』

「どうかなさいましたか?」

『暇ね』

「今日もレッスンが沢山入ってますよ」

『フランス語イタリア語ドイツ語スペイン語英語ピアノに刺繍毎日同じことの繰り返しお兄様達は外国に留学してるのに私はミィシューレから滅多に出れないのよ?確かに家が1番だし不自由はしてないけどたまには私もお兄様達みたいに留学とかしてみたいわ』


ほんと暇
やることはほぼ毎日同じレッスンレッスンレッスン
城からもほとんど出ないのにこんなに色々やることないじゃない


「姫様はこの前もフランスへ行ったではありませんか」

『フランス以外にも国はあるじゃない』


それにフランスでも別にどこか行ったわけではない
ほぼ宮殿の中にいて散歩して舞踏会とかに出てのくりえし

フェルゼンがいたら───って私何考えてるの
彼は関係ないじゃない


「アントワネット様がまだ王女様の時にはオーストリアにも行ってらっしゃいましたよ」

『でも最近ではないわ』

「姫様。貴方様はこの国唯一の姫君。お兄様である王子様達とは少し違うのです」

『結婚したらもう他国に行ったりすることはできないわ。ならそれまでは色々なことをやりたいのよ(───学びたいこともあるし)』

「姫様・・・」

『それに』

「それに?」

『うんん。なんでもないわ(海外旅行気分で他国に行きたいなんて絶対言えない)』




美味しい物食べて観光してというのを想像してこれをばあやに知られたら怒られるなと思いながらミィシューレの名産であるレースがあしらわれたクッションを抱きしめた








ばあやと話してから1週間後お父様に執務室に来るよう言われ行くとお父様とお母様が待っていたお父様にお母様とお父様の前に座るよう言われ座ると10秒程の沈黙の後お父様が話し出した




「エリザベート」

『はい』

「そなたには留学をしてもらう」

『・・・・・え?』




なんでいきなり留学の話?お父様とお母様には留学したいことは一切言ってないし
は!ばあやがお母様達に言ったんだわ───さすがばあや。仕事ができる




『いいんですか?私が留学をしても』

「もちろんお前の兄たちのように何年もという訳ではない長くても1年程だ」



1年もさせて貰えるなら十分だ
確かにお兄様達は5年以上色々な国へ留学をしているが姫である私が同じようにさせて貰えるなんて思ってないから




「ですが条件があります」

『条件ですか?』




お母様が言う条件がめちゃくちゃなものなら困るけどそうじゃないなら喜んで条件をのんで留学をする

お母様とお父様は黙ったあと見つめ合いお母様が口を開いた




「あなたには婚約をしてもらいます」




お母様の言葉に目を開き一瞬息をするのを忘れてしまった
婚約───いずれはすることはわかっていたし覚悟もしていた
───以前の私ならすぐに納得した

今だって納得しなければいけないことは頭では理解してるしお母様達が選んだ相手ならきっと大丈夫だとわかるのに息が苦しくなった

お母様達にはフェルゼンのことは言ってないしこれに関してはばあやもお母様達には言ってないはずだからお母様が知らないのは仕方がない───それに彼との約束はばあやは知らないはずだもの


『わ、かりました』

「お相手とは明日会うことになってますから明日のレッスンは全てお休みにしました」

『・・・・・はい』

「あと留学の場所だけどその婚約者の方がフランスに行かれるということであなたもフランスに決めました」

『フランス・・・』




なんでフランス?

フランスならフェルゼンに会えるかも───ダメだわ婚約者ができてしまう以上フェルゼンに会うのは良くない

いつの間にか私も彼を好きになっていたなんて───
今は一般人ではなく王族ここは21世紀ではなく18世紀
私が生前生きてたとことは違うんだから今生きてるこの時代この世界に従わなきゃ


マリー達が惹かれ合うのを見てろって神様が言ってるのかな───




「エリザベート?」

『お父様、お母様フランスへの留学を許して下さりありがとうございます。しっかり学んで来ます』




お父様達に退出の挨拶をしてお気に入りの庭園にむかう

お気に入りの西の庭園にあるガーデンハウスの柔らかい素材のチェアに座った


フェルゼンに手紙を書こう婚約をすることになったから私のことは忘れてください───って
相手が分かってからの方がいいだろうから明後日に書こう
流石に明日は書けない───

フランスでは会う訳にはいかないからなるべくハンスが行きそうなとこは避けなきゃ

ばあやにも協力してもらわなきゃね




『今日も空が綺麗だわ』




空を見上げて手を伸ばしそう呟いた

鳥みたいに自由に羽ばたけたら幸せだったのに───





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